10月1日付けで東京科学大学の理事長に就任した 大竹 尚登さん 横須賀市根岸町出身 60歳
最高峰の科学 社会に還元
○…東京工業大学、東京医科歯科大学という理系・医系最高峰の大学が今年10月に統合。「二つの頂点をつなげ、科学で社会課題の解決に挑む大学づくり」が新理事長自身に課すミッションだ。異なる歴史・文化を持つ両大学の背景を鑑み、活発な意見交換を促すなど時間をかけて学内の融和に取り組み、新たな制度構築を行っていく。
○…日本の国立大学に理事長職が置かれるのは異例。少子化による学生数の減少や国際競争の激化など、大学機関を取り巻く環境も変動を見せており、資金確保や金融機関との折衝など法人全般のマネジメントが期待される。組織として明確な成長目標を掲げ、数字を積み上げることで研究室予算や奨学金など教育環境への投資を増やしていく。その先にあるのは「世界に打ち出す大学」の青写真だ。
○…横須賀高校在学中は授業の進度を先取りして学ぶなど、理系分野の学習に没頭。その後進学した東京工業大学ではダイヤモンドの人工生成など機械材料学の研究を深めた。同分野では2005年に産学連携を促進する大学見本市で最優秀賞を受賞。同大発のベンチャー企業の設立にも関わった経験を持つ。そうした経営者としての実績も理事長に推薦された理由の一つだ。
○…世界に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス。当時は両学とも工学・医学さまざまな分野で成果を上げたが、「それでもワクチンを作ることはできなかった」。だからこそ「今日の命を守る医学」と「未来の産業を生む工学」の融合で、単独では成し得ない「新たな価値の創造」に可能性を感じている。「最先端の知識・技術を深め、どう社会課題を解決するか」。新世代の国立大学の試金石としてその手腕が問われる。
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