横須賀・三浦 文化
公開日:2026.07.31
小栗終焉の地を訪ねて── 倉渕で動く地域おこし かつて横須賀市と友好都市
日本の近代化を大きく前進させた横須賀製鉄所の建設を指揮した幕臣、小栗上野介忠順を主人公とする2027年NHK大河ドラマの放送に向けて、小栗の生涯や功績に焦点を当てた講演会や関連書籍の出版、土産品開発など徐々に盛り上がりを見せてきた横須賀。こうした機運は、かつて友好都市として絆を結んだ小栗終焉の地・群馬県高崎市倉渕町(旧倉渕村)でも高まっている。ドラマ化を絶好のチャンスと捉えて、地域おこしが動き出しているようだ。現地を訪ねた。
倉渕は、小栗の知行地だった。幕府崩壊後に家族とともにこの場所に移り住んだが、わずか64日間滞在しただけで小栗の存在を脅威と感じていた明治新政府軍によって無実の罪で斬首された。烏川の水沼河原に広がる水田の脇に、顕彰慰霊碑があり、「偉人小栗上野介 罪なくして此所に斬らる」の碑文が刻まれている。案内看板も設置されており、ゆかりの地を巡る人たちが熱心に眺めていた。
小栗は倉渕に到着後、観音山で居宅の建設を進めたが、それが完成するまでの間、仮住まいとしていたのが権田村の「東善寺」だ。小栗父子の墓があり、境内には小栗と彼の理解者だった栗本鋤雲の胸像が並び立つ。小栗にまつわる資料も多数保管されており、遣米使節の際にアメリカ土産として持ち帰ったピストルとケース、望遠鏡、手回しドリルにネジ釘などが飾られている。
迎えてくれた村上泰賢住職は小栗顕彰の第一人者であり、名誉回復に生涯を捧げてきた人物。この日は、小栗の生涯や業績についてスライドなどを用いながら90分間におよぶ熱のこもった講義をしてくれた。同寺の敷地内には、高崎市の協力も得て「小栗上野介記念館」を建設中。募金や住職の私財を用いて内容の充実を図るという。年内に完成する見込みだ。
この地を訪れる観光客が必ず立ち寄るのが道の駅「くらぶち小栗の里」。ドラマ化が決定してから「小栗の資料展示コーナーを見学する人が増えている」と塚越育法駅長。併設の食堂では、佐島直送をウリにした「しらす丼」が提供され、土産コーナーには「海軍カレー」が並ぶ。かつて横須賀市と友好都市だった頃の名残りだ。市町村合併に伴い、横須賀市との関係は解消しているが、「小栗でつながる縁を大切にし、新しい友好の形を模索したい」と塚越駅長は話してくれた。
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