逗子・葉山版 掲載号:2012年5月11日号
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伊藤賢一郎さん 本当の豊かさ、追い求め キャンピングカーで放浪の旅

文化

 「モノ」と「カネ」の束縛から解き放たれた生活を―。昨年7月からキャンピングカーで放浪の旅をしている男性がいる。葉山町一色に暮らしていた伊藤賢一郎さん(50)だ。旅を機に家財など所有していた財産は全て処分。マンションも賃貸契約を解消し、今手元にあるのは最低限の衣類と調理器具、寝袋程度だ。

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 きっかけは08年のリーマンショックだった。元々保険代理店を営んでいた伊藤さんだがその時、「砂上の楼閣にわが身がある」とこれからの生活が決して安定したものでないことを実感。昨年の東日本大震災も背中を押した。「自分の持ち物なんていつなくなるか分からない」。考え抜いた末、キャンピングカーで全国を放浪する旅を思いついた。仕事を手放し、大阪で見つけた200万円の中古キャンピングカーを購入。「脱石油、持続可能なスタイルで」と車を廃食油で走るよう改造し、生まれ育った九州に向けて葉山を発った。

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 仕事や時間に縛られていた生活とは一転、気のみ気のままな放浪の旅。使うお金は食費程度。朝日が昇ると同時に目を覚まし、声を出して自分の体調を確かめる。旅をしてしばらくするとものの見え方も変わってきた。夕日に染まる雲、新緑に芽吹く山々、満天の星空。仕事に追われていた時には見過ごしてしまっていたものが今は心に染み入ってくる。「全てを手放すのは勇気が必要だった。でもそれができたからこそ得ることができた恵み」。

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 これまで旅してきた距離は既に2万キロを超えた。西日本に散った旧友を訪ねたり、自然志向の団体に招かれたり。食材や天ぷら油をもらうなど人に頼る部分も少なくないが「これまで冷たくされたことがない。こんな幸せでいいのか」と人の温かさを噛み締めている。今後の旅の未来図を尋ねた。「しばらくは葉山にいるけど、遠い先は分からない。これまでどおり気のまま」。人と人との縁が紡ぐ旅。続けられる限り、人と自然、今の自らを取り巻く全てのものに感謝を捧げながら車をひた走らせる。
 

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