県は11日、2006年から続いていた引地川(延長約21Km)の「下土棚遊水地」の堤防整備が完了したと発表した。増水時に水位を下げるために一時的に水を逃がす遊水地を計4カ所整備し、新たに46万㎥の貯水が可能になる。秋の台風シーズンを前に、減災能力の向上が期待される。
引地川は藤沢市を南下して相模湾に注ぐ二級河川。下土棚は、大和市に源を発する本流と綾瀬市から流れ込む蓼(たて)川が合流する市境で、大きく川が蛇行する地点に位置する。
2006年に開始した同事業は、川の両岸に4カ所の貯水池を整備。県によるとこれまでの整備で約40万㎥の貯水量を確保。今後掘削工事や護岸工事、管理棟などの施設整備を段階的に進め、今年度内の完成を目指すという。
同河川を巡っては過去に度々浸水被害が発生していたこともあり、県藤沢土木事務所は「災害規模を雨量で一概にくくることはできないが、今回の全体運用開始で、引地川流域の浸水被害の防止、縮小が見込める」と期待する。
平時は市民が憩いや交流の場として活用できるよう、完成後は多目的に利用できる場所として整備する方針。サッカーグラウンドなどとして活用されている大庭遊水地と同様、広場や公園としての利用を想定しているという。
過去に浸水被害
引地川は流域の急速な都市化などの影響で、台風による豪雨などで度々氾濫してきた経緯がある。同事務所によると、記録に残る最大の被害は、1976年9月の台風17号による洪水で、床下265棟、床上128棟の浸水被害が発生。こうした背景から県は79年から保水・遊水の増大を中心とする治水事業に取り組んできた。
引地川においては、93年に約28万㎥の貯留能力を有する大庭遊水地の供用が開始されている。
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