藤沢市山岳・スポーツクライミング協会の会長を務める 東 昭一さん 藤沢在住 71歳
山を愛し山に愛され
○…五輪競技入りで注目の集まるスポーツクライミング。普及は今が好機として環境整備を市内外で進める先導役だ。今夏は善行の県立スポーツセンターに念願の障害者も利用可能なボルダリング壁が完成。「高い所に登るのは人の本能。山も壁も、根っこは一緒」とほほ笑む。
○…岡山県勝田郡生まれ。「めったに怒らない」と評判だった穏やかな青年は、高校の山岳部で人生を一変させる。先輩に叱咤激励されながら辿り着いた、中国山脈・大山の頂上。「言葉に代えがたい充足感を感じてしまった」。その後インターハイで県最優秀選手になるなど自他ともに認める「山男」に。就職後も休みの度に全国を周り「上り詰めた」。競技に最適な体を完成させるべく、20歳から3年をかけ7日間断食修行も達成。そのかいあって、31歳の時神奈川県代表として出場した国体では登はん種目初代チャンピオンに輝いた。
○…妻との出会いも山。「昭和に若人のレクリエーションといえばハイキングという時代があった。自然の中で協力し、登頂達成で絆が深まるから」と照れ笑い。小学校6年生になる孫はクライミング競技で頭角を現し始め「藤沢には有望選手が多い。いつか私の記録を破ってくれるはず」と期待を高める。「森が無ければ山は成り立たない」と環境保全への関心も強く、60代で林業の資格も取得した。
○…現在は監督や審判員など後進育成に尽力。県山岳連盟理事長や日本山岳協会の参与も歴任し、神奈川登山学校財団設立や秦野市の県立山岳スポーツセンター整備にも携わった。山を愛し50年超。座右の銘は「俺がやらねば誰がやる、今やらねばいつやる」。魅力を広めるためなら身を惜しまない。
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