東京五輪サーフィン女子日本代表に選ばれた 都筑 有夢路さん 鵠沼海岸在住 20歳
自分を信じてここにいる
○…「口数が少ない」「おてんば」「運動神経はいい」。幼少時代を振り返った母の評だ。言葉に出さずとも己の信念に従って努力し、未踏の領域に足を踏み入れる。その片鱗が垣間見える。沼から巣立った20歳の新星は、夢の実現に向けて大きく前進した。目指すべき景色は見えている。表彰台の頂上、胸に輝くのは金色のメダルだ。
○…15歳でプロ転向。19年9月にスペインの国際大会で優勝する快挙を達成し、世間を驚かせた。同年11月には台湾で開かれた大会も制覇し、18歳以下の世界一に。現在は日本人女子としては唯一、プロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に参戦している。アマ時代はタイトルなど一つもない。世界を主戦場にしてからも成績が伸び悩み、苦しんだ時期もある。だが、どんな苦境でも自分を信じた。「それが今、ここにいる理由かな」。努力の数が自信をつけてくれると、今は知っている。
○…沼ローカルの間では「あむちゃん」の愛称で親しまれる。小学4年生までクラシックバレエに打ち込んだが、父と兄の影響でサーフィンを始め、自宅から徒歩5分の海に通い詰めた。CTサーファーとなった今も心のホームは慣れ親しんだ海だ。「海外に行くと沼が恋しくて。帰ってくるとすごく落ち着く」。そう語る表情にあどけなさがのぞく。
○…五輪開催を巡ってはほとんどの会場で無観客開催が決まったが、「大人のことはよく分からない」。やるべきことは自分のパフォーマンスをするだけ。目の前の試合に集中するだけだ。五輪はサーフィンという競技の裾野を広げる絶好の機会でもある。「活躍すれば知ってもらえるきっかけになる。そうなれるようがんばりたい」。一際言葉に力がこもった。
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