日本大学藤沢高校ラグビー部の監督で21年ぶりに関東大会出場へと導いた 向 淳造さん 都内在住 55歳
自主性育む”ぶつかり合い”
○…「長かった。でもほっとした」。大舞台へのチャンスを手繰り寄せた県予選会準々決勝、会場となった秋葉台公園で快哉を叫んだ。並み居る強豪を前に水をあけられる期間が続いた。その迷路から抜け出すための答えはディフェンスにあった。「点取り合戦はしたくない。競技上、避けては通れない守りを徹底的に磨いた」。2年ほど前から練習の中身を変え、ようやく芽が出た。
○…横浜市栄区で生まれ育った。もともと野球少年だったが、小さな体を鍛えようと、中学の部活でラグビーの世界へ。”スポ根”ドラマの金字塔『スクール☆ウォーズ』ブームとも重なり、汗と涙の青春を過ごした。その後、日大藤沢高校に入学。フォワードとバックスをつなぐスクラムハーフを担当し、国体の県選抜にも選ばれた。大学を経て、現在ジャパンラグビーリーグワンに所属する「浦安D―Rocks」の前身であるNTTに入社。強固なディフェンスとキレのあるタックルを武器に、社会人チームでも活躍した。30代半ばで現役引退後、母校から声がかかり、17年指導してきた。
○…関東出場の感慨に耽る間もなく、グラウンドでキリリと鋭い目を光らせる。「昔は『ああしろ、こうしろ』と指示を出していたが、それでは選手は動かない。今は自ら課題を挙げ、解決させている」。真剣な表情で一つひとつのプレーを話し合う選手たち。自主性が日々育まれている。
○…家族と過ごすひと時が息抜き。「この間はサザンのライブにも行った」と笑う。オフの日でも頭の片隅で気になるのは選手の存在。「やっぱり”ぶつかり合い”が好き。チーム日藤の名を全国に轟かせたい」。若い世代がいずれ、藤沢に繁栄をもたらせてくれることを信じて疑わない。
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