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公開日:2026.05.08

「パッカー車」のヒロイン誕生 市内初の女性運転手、遠藤さんが活躍

  • 業務前にグリーンの車両の前に立つ遠藤さん

    業務前にグリーンの車両の前に立つ遠藤さん

 資源回収現場に爽やかな新風が吹き抜けた。パッカー車(ごみ収集車)のドライバーとしてハンドルを握るのが、遠藤清香さん(34)。藤沢市の委託業務に従事するスタッフとしては、初の女性だ。体力的な負担や労働環境のイメージから「男の職場」という印象が強かった業界で、多様な働き方を象徴することで人手不足の解消に寄与するだけでなく、市民らへの対応も柔らか。入社から半年ほど経とうとする中で、あらゆる化学反応を起こし始めている。

 前職では派遣のコールセンターに勤務し、電話越しに顧客の対応に追われる日々を送っていた遠藤さん。朝から晩までデスクワーク。「私が本当にしたい仕事は、これなのか」。いつしか自身の心に疑念が湧き、再び職探しを始めた。

 「事務職は急に興味がなくなった」。その迷路から抜け出すための答えは、冷暖房の効いたオフィスではなく、太陽の下で汗を流す「現場」にあった。安定した収入が得られ、土日休みで退勤後の予定も立てやすい。外に出て体を動かすパッカー車のドライバーが遠藤さんの目には魅力的に映り、昨年12月に株式会社山崎商店(善行)の門を叩いた。

達成感と誇り

 清涼な空気が頬を撫でる午前7時すぎ。立石の現場に遠藤さんが出勤する。主な業務は午前中に雑誌・雑がみ、午後には空き缶の回収にあたること。緑の車に乗り込み、市内を走行。村岡出身の遠藤さんにとって今の仕事は、青春を過ごした道や知人宅をきれいにするという、まちへの誇り高き恩返しだ。「きょうも終わった」。そう叫びたくなる午後4時40分の終業時、遠藤さんは清々しい達成感で満たされる。

 はじめはルートや車両の操作に戸惑い、同僚に頼り切ってしまうことにもどかしさを感じる時もあったというが、現在では"阿吽の呼吸"で作業を進められるまでに。

 「きょうは一度もネットから缶をこぼさなかった」「夏は大変と聞くけれど、痩せたいから10kg減を目指す」。ストイックかつチャーミングな小さな目標の積み重ねが、原動力となっている。

 走行途中に幼稚園児から「あ、女の人だ」と手を振られると、遠藤さんもまた満面の笑みで手を振って応える。まちが新たな輝きを放ち出した。小学5年と中学1年の娘の母親でもある。近所の道を歩きながら「ここもきれいにしているんだよ」というと、2人の子どもは「へー」と返す。

上司驚愕の根性

 男性主体の職場だが、「男女という概念があまりない」とさらりと語る遠藤さん。迷いの色は一切なさそうだ。

 「すごく気が利く」。同社の山崎俊輔専務は、遠藤さんの仕事ぶりを高く評価し、また適応能力の高さにも驚きを隠せない。これまで業界の環境などを理由に去っていった人もいたことを振り返った上で、遠藤さんには「そこらの男には負けない気概がある。根性のベースが違う」と賛辞を贈る。女性ならではの視点と細やかな配慮を武器に、真剣に仕事と向き合っている証拠だ。

多様性の光

 「ノルマはある。でも翌日に持ち越すような仕事はない。もっと女の人が入ってきてくれたらうれしいな」。遠藤さん自らが業界の先駆者となることで、後に続く女性が「私にもできる」と思える道を切り拓こうとしている。目標は「いろいろな人を受け入れ、中和できる存在になること」。

 そう語る遠藤さんを見て、市内の委託業者を取りまとめる市資源循環協同組合の阿部英一参与は「従業員の高齢化など人材不足が続く業界だが、市民と接する際にはソフトな対応でイメージアップにつながっている。遠藤さんを第一弾のモデルケースとして、今後も積極的に女性を採用したい」と声を弾ませた。

 5月30日は「ごみゼロの日」。ごみを減らす意識の向上やリサイクルの推進など、地域や企業、学校といった全国各地で清掃活動や環境イベントが行われる。

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