由比ガ浜に店舗を構え、鎌倉市中央図書館で展示中のジオラマを制作した 釣巻(つりまき) 崇さん 藤沢市在住 68歳
情熱をジオラマに込めて
○…鎌倉市中央図書館で4月8日(日)まで開催中の作品展「図書館に江ノ電がやってくる!」に展示されているジオラマの制作者。一両だけで運行され、「タンコロ」の愛称で親しまれた江ノ電100形電車が走る1980年ごろの極楽寺周辺の景色を再現した。2016年に完成した作品で、横幅1m60cm、奥行90cm。「ジオラマを見て懐かしがり、喜んでくれる人が多い。そうやって昔の話をするのが楽しい」と笑顔で語る。
○…東京で生まれ育った。乗り物好きが高じて、中学生のころから鉄道模型を作り始めると、次第に、街並みや風景を再現するジオラマにも惹かれるように。「創意工夫を凝らして、人々の姿や生活感まで表現できるのが面白い」と話す。自動車や飛行機などをパンフレットや雑誌に掲載する広告用写真のカメラマンとして活躍するかたわら、こつこつと制作を続けてきた。
○…今回の作品は、数年前、自身の写真展を計画していた元稲村ケ崎小学校教諭・小林進さんから「会場で江ノ電のジオラマを展示したい」という依頼があったことをきっかけに制作が始まった。「江ノ電は自分自身も大好きな車両で、いつか作ってみたいと思っていた。鑑賞者が感情移入できるように、素材選びや縮尺通りの仕上がりに心血を注ぎました」と海、山、線路のほか民家や寺社、駅舎など、時には航空写真なども参考にしながら精緻に再現した。普段は由比ガ浜で自身が運営する、ジオラマなどの工房兼販売店「ニケ・アンド・ビーチスタジオ」に飾られ、道行く人の目を楽しませている。
○…仕事やプライベートを問わず数多くの国を訪れてきたが、特にお気に入りはアメリカだという。「自由な雰囲気、街や自然の豊かさに憧れて、もう20回ほど訪れたよ」と笑う。今後については「ジオラマも写真も一生現役で続けたい。大好きなアメリカのルート66などの景色も作ってみたい」と意欲を語った。