鎌倉 人物風土記
公開日:2026.10.23
「第21回全国路地サミット2026in鎌倉材木座」の実行委員長を務める 梅澤 典雄さん 材木座在住 74歳
街の歴史を未来へつなぐ
○…「路地は人間が暮らしやすい空間の原点。便利さだけでなく、人と人の触れ合いや工夫がある暮らしを残したい」。11月7日(土)と8日(日)に材木座で初開催される「全国路地サミット」の実行委員長として、約10人のコアメンバーとともに準備を進める。「海に抜ける材木座の路地は、昔ながらのおすそ分けや声かけが残る独特のあたたかさがある。その魅力を発信し、防災や景観の課題もみんなで考えたい」と意気込む。
○…材木座で生まれ育つ。東京藝術大学で学び、一級建築士として大手の設計事務所で美術館など大型公共建築の設計に30年携わった。父が1人暮らしになったことをきっかけに鎌倉へ戻り、自身の事務所を開設。日本古来の伝統工法に傾倒し、事務所は釘を一本も使わない「伝統木構造」で建てた。大正時代建造の材木座公会堂の保存活動では、建築のプロとしての専門知識を生かして登録有形文化財への登録や耐震補強に尽力。地域住民とともに街の歴史を支えてきた。
○…「車を持たない暮らし」を長年実践し、自宅の風の抜けや木々の陰影を愛でる。「人間の感覚を取り戻すには、路地のようなスケール感がしっくりくる」。昔ながらの道具を手に「小屋づくり」のワークショップを開けば、全国から集まる若い世代に木と向き合う手ほどきも行う。「建築は仕事であり趣味のようなもの」と笑う。
○…サミットのテーマ「恋するこみち」には、母で詩人の小林比呂古さんが遺した路地の詩への思いも重なる。「近所でおいしい夏みかんが取れたらジャムにして配り合うような、そんなお節介でゆるやかなコミュニティが残るまちを後世に残していきたい」。地域への愛着を携え、街の未来を軽やかに描く。
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