茅ヶ崎の轍(わだち) 第45回(前編) 道編「赤羽根の道」 協力/茅ヶ崎市文化資料館
市境の道
市内を東西に走る大山道を東に進み、赤羽根にある東京電力辻堂変電所の東側の交差点が、茅ヶ崎市と藤沢市の市境になります。江戸時代はここを中心に、大山道を挟んで北東側が大庭村折戸、北西側が赤羽根村、南東側が辻堂村、南西側が小和田村という4村の村境でした。交差点から南北に続く市境の道を北へ進むと、途中から急な登り坂になります。ここは湯桶口と書いて「オトウグチ」、坂道は湯桶坂と書いて「オトウザカ」といいます(東側の藤沢市折戸では、折戸道と呼んでいます)。湯桶坂を登るとほどなく二またに分かれます。攀又(よじりまた)といい、急な坂道をよじ登った先の分かれ道なので、そう呼んだと思われます。分かれ道を市境に沿って進み、坂を登り少し行った辺りを庚申塚といい、以前は享保2年(1717)造立の庚申塔がありました。攀又を東に向かう坂は現在ゴルフ場ですが、以前は大庭の村中に通じる道で『新編相模国風土記稿』に「有藤(宇土宇)坂」とあり、『藤沢の地名』にも「ウトウ坂」と紹介されています。「ウトウ(オトウ)」は空洞を意味し、切通しの坂道が空洞のように感じられるので、そう呼ぶようになったといわれています。
【参考文献/茅ヶ崎市史】
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