平塚・大磯・二宮・中井 人物風土記
公開日:2015.04.09
第2回かつしか文学賞で優秀賞に選ばれた小説『ドアの向こう』の作者
洲之内(すのうち)高男さん
平塚市在住 58歳
「日々の希望 描きたい」
○…「あれは暑い日だったな、冷房が気持ちよくてさ」。小説の一説のような語り口調で、作品を応募したきっかけを振り返る。都内の職場へ向かう電車の中。ふと見上げると、車内の人混みに不釣り合いな「青空」を見付けた。その青空を背景にした中吊り広告から「葛飾を舞台にした心に響く小説を下さい」と誘われ、ペンを取ろうと思い立ったという。「大賞100万円っていうのも、こりゃいいぞってね」と冗談めかす。
○…都内で生まれ、小学生の時に父の療養を兼ねて平塚へ。「中学生なのにチャンバラごっこに夢中」なほどのやんちゃ坊主だったという。叔父に作家の洲之内徹氏、父も小説家だったが、「母の苦労する姿を見て、自分は地に足をつけた仕事がしたい、小説なんて書かないぞ、と思っていた」と振り返る。しかし気付けば、湧き上がる感情や思いを小説で表現するようになっていた。「今回の審査員の方に、叔父達の文章と似ていると言われました。血は争えないんでしょうかね」と苦笑する。
○…葛飾への取材は休日に、執筆は仕事を終えた深夜。なかなか筆が進まず、布団に入ってからも夢うつつに表現を考え続ける毎日だったという。妻からかけられたのは「体に気を付けてね」の一言。優しく見守ってくれたことが支えとなった。「ささやかな恩返しのつもり」と、毎週土曜日は掃除など家事の手伝いに費やす。妻を評して「優しい奴だな、と思います」と一言。照れながら頭をかきつつ相好を崩す。
○…受賞作は、葛飾を舞台に、主人公の男性がモラトリアムから卒業し、一人の男として父を乗り越える物語。自身の息子への思いを根底に、葛飾の取材で触れた、下町人情をエッセンスにちりばめた。「日々の暮らしの中の何気ない一瞬に宿る真実、そして揺るがない希望を描きたい」と真っ直ぐな瞳で語る。父や叔父達と並び立つ作家となる日を目指し、ペンを握る。
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