ありのままの自分紡いで

　○…ジャズボーカリストとして活動する傍ら、趣味で作った編み物作品の個展を、大磯のギャラリーで11月に初開催した。「コロナで歌の仕事が減り、何かしたい気持ちが生まれて没頭していた結果です」と、約２年間で作り上げた大人用のセーターや帽子など、50点もの作品を並べた。

　○…東京都出身。母と祖母の影響を受けて、幼い頃から編み物をしていた。父は漆塗りや彫金などに取り組んでいたといい、「ものづくりをするのは自然なこととして育ったのかも」。等身大の自分で、芸術や創作に親しんできた。

　○…友人の勧めで、女性ジャズボーカリストのマーサ三宅さんが主宰する教室へ足を運び、ジャズボーカルに出合う。「はじめは遠慮したけれど、見に行ったら楽しくて」。ジャズボーカルを習い始めて１年ほど経った頃に、教室の大会で新人賞に抜擢。受賞者のみが出演できるマーサさんのステージに立ち、観客の前で歌声を披露した。

　○…大磯の和やかな雰囲気に惚れ込んで、東京の高輪から６年前に移住。「今でも主人と『引っ越して良かった』と噛み締めることがある」とほほ笑む。仕事面でも、コロナ禍以降は明治記念大磯邸園や、聖ステパノ学園のチャリティーコンサートなど、大磯での公演に積極的に出演する。「何しろほっとする。ご近所付き合いや行きつけの店の人との交流が楽しい」

　○…「（編み物は）自分が楽しくてやっていたことなので、見たいという声がなかったら、展示もしていなかった。皆さんに褒められ、これでいいんだとうれしく思った」。今回の展示を経て、編み物に挑戦したい人向けにワークショップを開きたいと展望。「楽しいと思うことを、皆で一緒にできたら良いな」