素朴な音の奏で伝える

　○…10月に開かれた大磯町のチェチリア工房での演奏会に出演し、主に伴奏を担当。打楽器アンサンブル「ＳＩＧＮＡＬ」の３人で、ジャズやクラシックなど幅広い楽曲を奏でた。「小規模ホールでの演奏は大ホールとは違った響きの良さがあった。いつものメンバーとリラックスしてできた」と穏やかに話す。

　○…二宮町で生まれ育った。両親が趣味で打楽器やクラリネットを演奏していた影響で、自身も音楽が好きに。東京藝術大学音楽学部器楽科の打楽器専攻へ進学した。卒業後は楽団へ所属せずフリーの打楽器奏者として、様々な楽団に参加する。小太鼓や大太鼓、トライアングルやドラムと演奏する楽器はさまざまだ。「プロの楽団と関わる中で、改めてオーケストラの響きの美しさを実感した」。東京藝大の同期と結成したＳＩＧＮＡＬの活動も続けている。

　○…幼少期から虫取りが趣味だという一面も。特に蝶が好きで、山に行ったり標本をつくったりして楽しんでいる。「自然が好き。風が吹いたときに植物がぶつかる音や、虫の歩き方、飛び方など、不規則で人の作為の入らないものと関わることで、新しい表現へのヒントとなることが多い」。自然が身近にある二宮もお気に入り。

　○…今後は「まずはフリーでやっていきたい」としつつ、「いつかはオーケストラの団員になれれば」と将来の夢を語る。多くの人と出会い、新たな発見をしていきたいとも。今は表現の引き出しを増やし、演奏の幅を広げることを目指し、自然と体に入ってくるような演奏を追い求める。「打楽器の響きの素朴さが好き。伴奏として使われることが多いが、打楽器が主体の曲もある。打楽器やクラシックの良さを伝えていけたら」と語った。