デザインの「豊かさ」見出す

　○…昨年11月にフジテレビで放送された番組『藝大よ、地球を救え。』の企画に東京藝術大学美術学部デザイン科３年生として参加。大磯港に蛸をモチーフにしたモニュメントを制作した。東京育ちで、大磯について「わかるのは海がある町というだけ。千葉県あたりにあるのかと思っていた」と苦笑する。「駅は思っていたより小さかったけれど趣があって景色がいい。約１カ月のタイトなスケジュールでたった一人で制作するのはプレッシャーもあったけど一生物の作品を作るいい経験になりました」と完成した作品を見つめる。

　○…「絵が得意かも」と思ったのは、同じく藝大出身の母がきっかけ。「小さい頃から、絵を描いていると、母が手加減なしで絵の上手さを張り合ってきた。電車好きだった僕に、立体感のある電車を描いてくれた」。その影響か、幼稚園生の時点で遠近法を使った電車を描き、周りに驚かれたことも。

　○…平面的なデザインを学ぼうと藝大に入学したが、もっぱら制作に熱をあげているモチーフは「石材」だ。「結蛸」の土台にも真鶴産の本小松を使用し、船体などに使われる丈夫な素材「繊維強化プラスチック」で作った蛸足部分との質感の違いにも可能性を感じている。「便利で使いやすいことがデザインに求められている時代だからこそ、石の持つ重量や加工のしづらさに豊かさを見出したい」

　○…「次に何を作るかは考え中。ひらめき待ちです」とぽつり。アイデアの源は意外にも「お笑い」だ。「『こうやったら人が笑う』という発想を考えるのは一種のデザインなのでは」。実は番組に応募したのも「（出演している）チョコプラの長田さんに会えるかもと思って」と笑った。