小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2026.06.20
50代後半にデビューし浪曲師として活動する 東家(あずまや) 恭太郎(きょうたろう)さん(本名:石川恭章(やすあき)) 小田原市板橋出身 67歳
思った時が始めどき
○…三味線に合わせ、扇子と手ぬぐいを手に独特の節回しで笑いと涙を誘う浪曲。伝統の世界を「何でもありの自由さが面白い」と笑顔で語る。芸歴9年ながら『小田原情相撲』などの古典から新作までレパートリーに持ち、7月には浅草で脚本・演出を手掛ける浪曲ミュージカルの公演と活動は精力的だ。
○…板橋での小学生時代から落語をクラスで披露し、人を笑わせてきた。「やりたいことに突き進もう」と、大学卒業後に芝居の道へ。アルバイトをしながら劇団養成所に所属し、28歳でコメディー劇団を旗揚げと、芸の道にまい進。その後も「ピン芸人をやったり、都々逸(どどいつ)の師匠からクビを言い渡されたり」と紆余曲折に苦笑い。50代に入り、ふと観賞した浪曲に魅了され師匠の教室に通い詰めた。年齢が新たな世界に進む勇気を鈍らせたが「デビューできるのは60歳までだって師匠に言われて58歳で決意した」。下積み4年を経て1人立ちした。
○…現在は都内を中心に舞台出演する傍ら、介護福祉士として高齢者施設に勤務。体操などの指導をしながら漫談を披露し「仕事現場も技術を積み上げる場」ときっぱり。日々を支えるのは、劇団立ち上げから歩んできた妻の存在。「言い合いもあるけど、『私を笑わせたら合格』と言ってくれる一番の理解者なんです」と照れる。
○…「『芸人だね』と言われるのが一番うれしい」。根底にあるのはエンターテイナーの誇りだ。「やりたいと思った時が始めどき。踏み出すか、やらないかだけ」。11月には小田原でも舞台が予定され、地元に浪曲を広めたい思いがある。「何年後かには弟子も取れるので、続いてくれる人がいれば手助けも。これは人生をかけたやりがい」と意欲は尽きない。
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