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公開日:2026.08.08

江戸時代から続く「子宝の着物」 小田原市の曽我別所で受け継がれる風習

  • 一着一着丁寧に干すメンバー(左)と「貸附控帳」の一部

    一着一着丁寧に干すメンバー(左)と「貸附控帳」の一部

 小田原市の曽我別所地区には、江戸期から続くとされる「子宝祈願」の風習がある。着物を借りて寝床や枕元に置いて寝ると、子が授かるとされ受け継がれてきたもので、同地区で活動する高砂会(内野章会長・76)がいまも大切に守り続けている。

 同会や地元自治会によると、この風習はかつてこの地区にあった高砂神社の御神体が由来。尉(じょう)と姥(うば)の木造人形(江戸以前の作と推定)で、現在は曽我別所公民館に安置されている。同公民館の資料によると、この人形に着せた着物を借りて御神酒を供えると、子宝に恵まれるという。願いが叶うと、借りた着物に新調した着物を添えて返納するのが習わしだ。

 高砂会は70年近く管理に携わっている。メンバーの70代女性は「着物を布団の下や枕元に置いて寝ると子宝に恵まれるといわれ、実際に授かった方からお礼状がたくさん届いた」と振り返る。

 この風習は江戸期から始まったとされ、終戦時には戦災者のために着物を放出したという逸話もある。また昭和20年代の「貸附控帳」を開くと、余白なくぎっしりと氏名と住所が記されていた。市内だけでなく東京や静岡など県外からの記載もあり、地元を離れた人や話を聞きつけた多くの人々が訪れたことがうかがえる。

 時代を経て貸し出し数は減少し、直近の子宝祈願の貸し出しは30年近く前という。また9月末に行われる「宗我神社例大祭」で御神体を屋台に乗せるため、祭りに合わせて希望者に子ども用の着物として貸し出しもしている。7月26日には土用干しを実施。メンバーは30着近くの着物を丁寧に干した。内野会長は「少しでも長く、この伝統を続けていくことができれば」と話した。

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