タウンニュース秦野編集室では、2020年の年頭を飾る企画として、秦野市の経済界のリーダーを務める、秦野商工会議所の佐野友保会頭に、インタビューを行った。
─あけましておめでとうございます。昨年を振り返って率直な感想をお願いします。
昨年は時代の大きな転換期だったと感じます。現上皇陛下の生前退位により、新たに天皇陛下がご即位され、令和の時代を迎えました。一方で、昨年は大型台風が上陸したことにより、日本の各地に大きな被害をもたらしました。秦野市においては、河川整備等を進めていただいたこともあり、人的な大きい被害はありませんでしたが、一部の道路が崩落するなど影響を受けました。経済界に目を移せば、特に商業に関してまだまだ厳しい状況が続いていると言わざるを得ません。後継者問題をはじめ、取り巻く環境はまだしばらくはこうした状況が続くものと思われます。
─地域経済活性化には、どのようなことが必要でしょうか?
秦野市には若い世代が多く住んでいます。共働き家庭が、安心して働き活躍するため、「学童保育」の充実が挙げられます。退職教員をはじめとした地域の人材が持つ豊富な知識や技術を活かさない手はありません。もちろん行政に任せきりではなく、私たち企業側がそれを支える仕組みが必要です。「子どもは宝」です。「子育てしやすい良いまち」であることが人口減少に歯止めをかけ、人口増に転じるカギだと言えるのではないでしょうか。私は将来的には秦野市の人口を18万人にまで増やしたいと考えていますし、そのためのポテンシャルが秦野にはあると思います。
─観光分野における振興についてはいかがでしょうか?
一昨年国道246号沿いのJT研究所が閉鎖されることが明らかになり、その跡地利用について、秦野市やJAはだのと共に、検討を重ねてまいりました。葉たばこ耕作は1980年代半ばで秦野から姿を消しましたが、百有余年にわたり先人たちが一大産地として生産してきた歴史があります。こうした歴史をしっかりと後世に伝えることで地域に対する市民の誇りや愛情を育むことができるでしょう。ですから資料館のような施設があったら良いと思います。もちろん、それだけではありません。表丹沢の東側入り口という立地から、観光の拠点として「道の駅」を整備し、近隣の市町の特産物などを販売すれば魅力を持たせることができると思います。大切なことは、あまり視野を狭く捉えないことです。例えば大磯や二宮など近隣市町の海の幸をとりいれれば、道の駅の魅力は増します。そういう意味であらゆる可能性を検討すべきです。
─新たな観光資源として「ジビエ料理」に注目していますが、どのようにお考えでしょうか?
丹沢には多くのシカやイノシシが生息し、時に田畑の農作物を荒らす「有害鳥獣」として駆除されています。一方野生の生物を材料とした「ジビエ料理」が脚光を浴びています。低脂肪で高タンパク、鉄分豊富な「ジビエ」の活用は国も推奨しています。これは神奈川県の黒岩知事が提唱する「未病」の取り組みとも合致するものです。秦野市は首都圏近郊で「ジビエ料理」が楽しめる地として誘客を図ることができる可能性があります。2月には、一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦さんを講師に招き、セミナーと試食会を開催する予定です。捕獲や処理、供給の安定性など現状で課題は多くありますが、ジビエを活用した新たなまちづくりを模索していきたいと考えています。
─最後に市民にメッセージをお願いします。
「行ってみたい」とか「来てよかった」と思えるまちが「住んでみたいまち」になり「住んでよかったまち」になる。そんな風に感じる人を経済界として増やしていきたい。都心にも近い距離でありながら豊かな自然と美味しい水、さらに子育てしやすい制度もある。秦野にはたくさんの魅力があると感じています。
─ありがとうございました。
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