7月7日の平和展「戦争体験講話」でスピーカーを務める綾瀬市遺族会会長 濱田 徹さん 綾西在住 73歳
平和への想い減らぬように
○…7月8日まで開催されている「平和展」。今年は市内だけでなく、近隣市からも貴重な史料を集めて展示し、体験講話もトーク形式とした。2012年4月に市遺族会会長に就任し、「変わったなりに何かできれば、先が続くのでは」と考えた。平和への祈りや想いを発信する。
〇…鹿児島県は阿久根の出身。父を亡くしたのは6歳の頃だった。「家が何かざわめいて『部屋に入ってくるな』と言われた。今考えると、あの時に父の訃報があったのだと思う」。わずかに残る父の面影は、オートバイが好きだった父に連れられて鯉を釣りに行ったことと、出兵後に一度だけ面会に行って、迷子になった時の事だけ。「お国のために命を捧げた父の存在を大事にしたかった」。遺族会に入った母の想いを継ぐように長男の自分も遺族会に入った。
〇…父の血か、機械が好きでエンジニアになった。「10代の頃は、いち早く職に就いて母や親戚を楽にしてやりたかった」。県内にたった4校の技術高校に3倍以上の難関を突破し入学。同級生のほとんどが自分と同じような境遇で、当時の仲間とは今でも定期的に会っている。卒業後、すぐに東京へ出てきた。仕事の縁で綾瀬へ。タイミングよく開発中だった綾西に居を構えた。「結果論だが、綾瀬は子育てにも良い環境だった」。市役所のバルコニーから臨む街並みを優しく眺めた。
〇…平和展の開催は戦争の「辛さや切なさ、苦しさを知らない人が増えれば、また戦争が起きてしまうかもしれないから」。時が経つにつれ遺族が減っていくことは「仕方のない事。でもせめて平和を願う気持ちは減らすまいと思う」。直接の遺族ではない息子2人も、自分から「靖国へ拝礼に行く」と言うようになった。戦争の話を「無理に聞いてほしいとは思わない」。ただ、その思いを受けてくれる人に繋いで、これからの時代に願いを託す。