結成25周年記念精神福祉講演会を開催する「矢崎断酒の集い」の代表を務める 船倉 輝雄さん 上土棚中在住 77歳
「喪失の病」と向き合い25年
○…団体を1人で立ち上げて以来、25年間代表を務める。地区センターや矢崎胃腸外科を会場に、アルコール依存になった人たちのための集まりを毎週開いているほか、かつて自分が通った「大和つくし断酒会」でも相談員を務める。また、県委嘱の酒害相談員としての認定も受け活動している。「アルコール依存は”喪失の病”。家族、親類、友人と一番身近で一番大切なものからなくしていき、最後は命を失う」と語る。
○…アルコール依存症と診断されたのは、49歳の時。「思えば、結婚した頃にはすでに症状が出ていたのかもしれない。親や家族には散々迷惑をかけた」と振り返る。このままでは酒に殺されるとの思いから酒を断つことを決め、弟が探してきた断酒会に通う日々。それを支えてくれたのが、夫人や友人だった。「依存脱却は自分一人では難しく、周囲の協力が必要。自分が今こうしていられるのは、家族や友人がいてくれたからこそ」と感謝の念を口にする。
○…横浜市で生まれ山形に疎開したあと、大和に越してきた。結婚し、綾瀬に定住する。断酒を支えてくれた夫人は数年前に他界し、今は孫と2人暮らし。依存脱却後はすっかり健康に目覚め、プールで泳いだりジム通いをしたりしていたそうだ。「断酒すると、健康に気を使う人が多い。せっかくやめたのに、病気になったじゃ仕方ないからね」。笑顔で語る姿から、「酒をやめて良かった」という気持ちが滲み出る。
○…「一人でも多くの人に、この病を知って欲しい」との思いから今回、医師を招き講演を企画した。最近では若い女性の依存症や、アルコール依存に付随する鬱やパニック障害なども増えており、自身も勉強会に出席するなど常に新しい知識を入れているそうだ。「呑んべえを周りに知られたら恥ずかしいは、大きな誤解。普通の病気と同じように相談し治療できる環境が作れるよう、これからも活動したい」と力強く話した。