神奈川県介護賞を受賞した 谷岡 睦夫さん 深谷中在勤 55歳
地道に勤めた36年の軌跡
○…「ある日突然、市の社協から連絡がきてびっくりした。実は、いまだによくわかってないんだよ」と、笑いながら感想を話す。県内の社会福祉施設等で直接支援業務に励み、顕著な功績をあげた人に贈られる賞。社会福祉法人聖音会が運営する知的障害がある高齢者の入所施設「さがみ野ホーム」に19歳で就職し、36年間粛々と勤め上げている実績が評価されてのことだろう。今は通所担当として、現場で汗を流している。
○…高知県四万十市出身。聖音会は福祉や保育の先駆者と言われる佐竹音次郎が郷里である同県で創設した法人で、近所に同様のホームがあったのが介護業界に入ったきっかけ。母や姉が携わっていた縁で、新たに開所する施設を紹介され、綾瀬の地へ。農業高校の出で、経験した職は看板屋や土建業。全く違う分野の仕事に苦労もひとしおかと思いきや、「昔入所者とやっていた農作業や、施設の修理で役に立った」とあっけらかん。「入所者はみんな純粋な方が多くて、楽しく働いている。とてもやりがいのある仕事ですよ」と、目を輝かせる。
○…現在は夫人と大学生になる娘と、海老名市に住んでいる。48歳までの22年間、地域のソフトボールチーム「だるまクラブ」に所属していた。「体がついていかなくなって引退した。今は趣味らしい趣味もないし、楽しみは帰って飲むお酒くらいかな」と話すが、休日は家事に勤しむ「良き夫」の一面も。
○…36年の歳月で介護業界は大きく変わり、施設環境もスタッフの増員や24時間体制の交代勤務、入所者の高齢化、移転拡大など刻々と変化している。「3時代くらい、変わったんじゃないかと思う」と振り返る。これまでブレずに持ち続けてきたのは、「QOL(クオリティ オブ ライフ)」の実践。より良い生活環境を提供するために必要だと自負するコミュニケーション力や観察力、想像力をつけることを後進に指導し、人材の育成にも努めている。