今年9月に完成予定の神奈川歯科大学付属病院(小川町5の6)の吹き抜けロビーに、巨大な漆喰オブジェが飾られる。縦11m×横6mの特大サイズで、同大のシンボルツリーとして地域にも親しまれている「ジャカランダ」をモチーフにしたもの。漆喰アーティストとして活動する気鋭の若手画家、小林奈生さん(東京都文京区在住)が制作を手掛けている。
ジャカランダの開花時期には毎年1万人の見物客が同大のキャンパスを訪れており、「通年で楽しめるように」と大学側が設置を決めた。
今から2年前、国立美術館で作品展示していた小林さんの作品を同大の鹿島勇理事長が目にし、花を花として描くのではなく、凹凸感を出しながらニュアンスとして表現する独特の画風に魅せられた。新病院が求める「癒し」のイメージもぴったり重なり、白羽の矢を立てた。漆喰は建築材料であるため将来にわたって長く残すことできることも決め手となった。
小林さんは美術大学で100号・200号サイズの大きな絵を描くことを学んでいた中で、「左官職人が壁を塗っている様にアートとの類似性を感じ取った」という。その後、漆喰を用いたアートワークに目覚め、職人を訪ねて鏝(こて)使いを学ぶなど、独自の表現を追求してきた。
漆喰オブジェは、6月の完成をめざして鋭意制作中だ。920ミリ四方の板に絵を描き、72枚をつなぎ合わせひとつの作品として完成させるという。「色と色の混ざり合いの面白さ、波立たせたような立体感など、漆喰をアートに変換させることで通常の絵画では出せない表現が可能となります」と小林さん。真剣な表情で一枚一枚と向き合っている。
【神奈川歯科大学付属病院】
稲岡町の校舎に併設されている付属病院を閉院し、新病院を開設する。地上12階建て、既存病院の2倍の広さ。「アートのある病院」といった新コンセプトを掲げており、院内にギャラリースペースを設け、若手アーティストなどの作品展示を行う。
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