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横須賀・三浦 文化

公開日:2026.11.04

「横振り刺繍」アートの領域 工芸博で実演の山崎さん

  • ドブ板通りにある山崎さんの工房兼店舗。年季の入った横振りミシンを操り、スカジャンやワッペンに刺繍を入れる

    ドブ板通りにある山崎さんの工房兼店舗。年季の入った横振りミシンを操り、スカジャンやワッペンに刺繍を入れる

  • 「横振り刺繍」アートの領域 (写真2)

 全国・神奈川の伝統工芸品とその卓越した技術に焦点を当てる「KOUGEI EXPO in KANAGAWA」が11月7日(土)から9日(月)までの3日間、「パシフィコ横浜」(横浜市西区みなとみらい)で開催される。数多の工芸品が並ぶ中、横須賀発祥の「スカジャン」が出展される。7日と8日には、ドブ板通りで刺繍専門店を営む「大将ミシンししゅう店」の店主で、先代の”大将正寿”の名を受け継ぐ山崎明さん(60)が、スカジャンの伝統的な刺繍技法である「横振り刺繍」の実演を行う。

* * * *

 「スカジャン」は、戦後まもない1940年代に駐留米兵らが本国に帰国する際の土産物として購入していたもの。虎や龍、富士山といったオリエンタルなモチーフの豪華な刺繍が高い人気を博した。初期の頃は物資不足もあり、兵士自身の装備品やハンカチ、パラシュート生地を利用するケースもあり、ファッションとしてではなく、手工芸品としての希少性が求められていた。

 その刺繍技術は、織物と刺繍の産地である群馬県桐生市の「横振り刺繍」に由来する。桐生は絵画のように糸を操る横振り刺繍の高度な職人技が集積する拠点。当時、スカジャンの刺繍生産を一手に引き受けていた。

 初代「大将ミシン」の正寿さんも桐生市出身。刺繍技術を横須賀に持ち込み、ドブ板通りのスーベニアショップでスカジャンやワッペンの下請けを手掛け、50年代半ばに現在の場所に店を構えた。技術が評判を呼び、米兵らに軍の階級の「大将」を指す「admiral」と呼ばれていたことから屋号に据えたという。明さんは20歳の頃から店を手伝うようになり、別の場所で洋裁技術を磨いた時期を経て2019年に承継した。

 針が上下するのみの家庭用ミシンと異なり、左右に振れる「横振りミシン」は、右膝のレバー操作で針の振り幅(線の太さ)を調整しつつ、布地を手で動かして図柄を描き出す。操作を含めた技法にマニュアルはなく「感覚や鍛錬によって体得してきた。ミシンを操る人によって仕上がりは全く異なる。書道や絵画と同じアートの領域」と明さん。昨今主流のコンピューターミシンは大量生産に向くが、「文字やデザインの細かなニュアンスの表現は手仕事に敵わない」とその技術に胸を張る。

 工芸博では、真っさらなスカジャンを持ち込み、構想中という図柄の刺繍を背中に直接施す。

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