東日本大震災をきっかけに地元住民が本格化させた山北町共和地区の”山の再生”が新たな交流を生んでいる。長年放置され弱った山の手入れを通じて若者が集い、林業回帰や過疎化にも歯止めをかけつつある。
12月3日、大野山の裏側にある山の斜面に、地元の共和地区に加え南足柄市や小田原市、横浜、川崎から26人が集まった。世代は小学生から60代まで。中にはフェイスブックで活動を知り川崎市から参加したエステティシャンの女性もいた。
植林体験は、旧共和小学校を拠点に活動するNPO共和のもり(井上正文理事長)が主催し、大野山山頂の裏手にある約0・45ヘクタールの尾根で行われた。県内の森林インストラクターでつくるNPO法人「丹沢森の仲間たち」(加藤逸平代表)が雑木に覆われた山の中腹に入り、2年がかりで「地ごしらえ」した斜面に1千本のクヌギ・コナラの苗木を植えた。
共和地区でドングリから育てた苗木に加え、水源地交流で縁ができた川崎市幸区のNPO法人「幸まちづくり研究会」(千葉美佐子理事長)が地元の保育園と育てたクヌギの苗木200本も持ち込んだ。
共和のもり職員の冨田陽子さん(32)は「共和のもりづくりに共感してくださる方が増えている」と手応えを感じている一人。代表の井上さんら地元の熱意に惹かれ3年前から共和地区に通い今春に移住。20代から30代の4人で空家をシェアして、NPOの山の作業班として山に入っている。この日は植林指導をしながら参加者にアナグマ汁を振る舞い里山の暮らしの一端も味わってもらった。
森づくりは今年が5年目。参加者の一人が「若い人が多く活気がある」と話す共和では「水をはぐくむ豊かな森、災害に強い森、獣害に強い森、地域に雇用を生む森」を目指し日々活動している。今秋には酪農家を目指す20代の女性が新たに移住してきた。植林した木は10年後に伐採され、シイタケ栽培のホダ木に使われるという。
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