横浜市無形文化財に認定されている「長津田囃子」の保存会会長 本所(ほんじょ)幸一さん 長津田在住 80歳
長津田囃子と歩んだ65年
○…笛・太鼓・踊りなど演奏者の調子(リズム)と気持ちが合ったときは「最高に気分がいいね」とお囃子の魅力を語る。現在は地元長津田小やいぶき野小で、長津田囃子の伝承に力を注いでいる。祭囃子には譜がないため”テケテンツク、テケツクテン”などと、太鼓などのリズムや音の強さを言葉で表現して伝えている。自身の孫より小さな子どもたちと気持ちを一つにできるのも「お囃子ならではですかね」。
○…子どもの時、地元の祭りで見たお囃子に「面白そう」と胸が躍った。自宅のすぐそばにあった練習場からは、祭りが近くなると楽しい音色が聞こえてきた。「毎日障子の穴から練習の様子を覗いていたんです」と笑ってみせた。ある日”一度やってみるか”と声をかけられたのが14歳の時。それ以来、伝統文化の火を絶やさないよう、普及活動を実施してきた。「消防出初式などで獅子舞の披露などもしています」。気付けば65年、これまでお囃子一筋の人生を歩んできた。
○…産まれも育ちも長津田。「夏なんかは恩田川で泳いだもんだよ。両親が始めた八百屋をやってたんだけど年末の市は賑やかだったなあ」と昔を振り返る。30歳の頃からタクシー会社に約5年勤務。その後、園児を送迎する幼稚園バスのハンドルをにぎり、長津田幼稚園では定年までの約20年を勤めあげた。可愛い園児の笑顔を見たくて、針金アートも覚えた。「三輪車の形に曲げるんだけど、みんなに喜ばれたよ」と話し、目尻にシワが寄った。
○…現在保存会には約35人が所属している。毎週約1時間の練習を重ねているが、自身の下の会員は40代と大きく離れているのが悩み。数名の子どもも会員となっているが、年齢層を厚くするのが現状の課題だ。「せっかくこれまで続けてきたものを潰すようじゃダメだ」と若い世代に言い続けるとともに、体が動く限り伝統文化の伝承活動を続けていく。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>