緑区 文化
公開日:2026.04.02
日本・ブラジル、児童ら交流 絵画描き合い 相互理解を 大使館で展示会
ブラジルは漢字表記で「伯剌西爾」、漢字1文字では「伯」と書く。外務省によると、日本と「伯剌西爾」の間で正式な国交が樹立されたのは1895年。この年の11月5日、フランスのパリで「日伯修好通商航海条約」が調印され、昨年は両国の友好交流130周年の節目だった。
ブラジルへの第1回契約移民781人を乗せた「笠戸丸」が神戸の港から出航したのは1908年。外務省が昨年3月に発行した資料によると、世界の推計日系人数は約500万人で、うちブラジルには約270万人が暮らしている(23年10月現在)。海を渡り、新天地に挑んだ日本人たち。その子孫らが次第に現地に深く根ざし、いまや世界最大の日系人社会を形成している。
テーマは「私のしあわせ」
日本とブラジル。12時間ほどの時差があり、言語も文化も異なる両国の子どもたちが交流を深め、昨年「私のしあわせ」をテーマに絵を描いた。3月10日と12日、その作品の数々が、東京都港区の駐日ブラジル連邦共和国大使館の一角で展示され、注目を集めた。
サッカーやバスケットボール、楽器演奏、富士山、日本の人気漫画のキャラクター。両国の子どもが絵筆を執り、自由に描き出した作品の中には、それぞれが心惹かれること、もの、人、風景などが思い思いのタッチで表現されている。いずれも昨年度制作されており、描いたのは当時の上山小学校の児童たちと、ブラジルのアラカチ市立サン・マッセリーノ小中学校の子どもたちだ。
みぞれ降る日でも
昨年度、両校の間で創作活動を通じた相互理解を深める事業が実施された。同事業はみどり国際交流ラウンジの飯田信子さんらの呼び掛けで実現したもの。日本での多文化共生活動や、ブラジルでの地域活動などに取り組むNPO法人「光の子どもたちの会」(鈴木真由美代表)などが協力しており、両国の作品は今年、中山地区センターやみどりアートパークなどでも展示された。
同大使館での展示会では作品の掲示だけでなく、今回の活動に関する動画も上映された。鈴木代表によると、初日の午前中は「みぞれが降るほどの悪天候。それでも近くの園児らが来訪し、絵を鑑賞してくれた」。動画の中で作品が映ると「その絵、こっちにあった!」と走って行って絵を探したり、「私はこの絵好き!」と、自分が気に入った絵の前にずっと立ったりする子どもの姿が見られたという。
「心から敬服」
同大使館での展示会が終了し、10日ほどが経過した3月下旬。タウンニュース緑区編集室に、鈴木代表から胸の内を綴ったコメントが寄せられた。その文面には、緑区内での展示では「ブラジル人に見てもらう機会はほどんどなかった」ものの、大使館での展示では「ブラジル人の方にも見ていただくことができた」との喜びが記されていた。
特に、ある日系ブラジル人が語った言葉がいまも心に残っているのだという。その相手は「『私のしあわせ』をテーマに絵を描くということは、簡単ではないですよね?」とし、「大人でもすぐには言葉にさえできないことを、こうして絵に描いて表現している。それは子どもたちにとって、自分自身を感じる貴重な機会になったのではないでしょうか?」と話した。さらに「『しあわせ』を絵で表現している子どもたちに心から敬服いたします」と、敬意を込めて語ったという。
転換
両校の交流事業では、相互理解促進に向け創作活動などに取り組むことはできたが、両国の子どもが「直接つながる機会を持つことができなかったという後悔がある」と鈴木代表。「時差12時間。オンラインでもつながることができない。そのもどかしさが心にずっとあった」という。
ただ、この日系ブラジル人の言葉に触れ「そうか。確かに子ども同士を直接つなげることができたら素晴らしかったかもしれない。でも、子どもたちが自分自身を見つめ、地球の裏側の子どもの絵を見ながら思いを馳せることができたのなら、なんて素敵なことだろう!」と思えるようになったという。
みどり国際交流ラウンジの飯田さんは「上山小学校の子どもたちにとっては、ブラジル大使館とつながり『大使館』をもっと身近に感じられた上に、国際交流にはさまざまな役割を果たす行政機関があることを理解できる良い機会になったと思う」と語った。
「地球の裏側へ」
鈴木代表らは今夏、ブラジルのアラカチ市での作品展示を予定しているという。「日本の子どもたちの絵は、海を渡り、地球の裏側に。その様子もぜひまた報告させてください」と鈴木代表は意欲を示している。
先人たちが長年にわたり築いてきた二国間を結ぶ絆。それを地盤に、将来の両国関係のさらなる発展を担うのはいまを生きる子どもたちだ。創作活動を通じた交流により、2つの国の子どもの柔らかな心に、相互理解に向けた種が撒かれた。今年、その種は一層深く根を伸ばしていく。国籍は違えど、それぞれの人が抱く「私のしあわせ」を互いに尊重し合いながら。
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