県政報告 ㉝ 「戦車の神様」が見せた、国を守る覚悟 県議会議員 武田 翔
8月15日が近づくと、占守島(しむしゅとう)の戦いで散華された池田末男大佐(のちに少将)の言葉が思い出されます。「士魂部隊」と称される陸軍戦車第11連隊を率い、みずからも「戦車隊の神様」と称えられました。一般的には1945年8月15日は「すべてが終わった日」と誤解されがちですが、実際にはその後もソ連の猛攻は続いていたのです。
連合国軍に対する日本の降伏をねらい撃ちするかのごときタイミングで、旧ソ連軍は武装解除後の陸軍に対し奇襲を企てました。それまでの終戦業務から一転、反撃に導いたのが池田連隊長の覚悟でした。不意を衝かれる格好となった自軍に対し「赤穂浪士となって恥を忍び後世に仇を報ずるか、それとも白虎隊となり民族の防波堤として玉砕するか」と問い、全員が玉砕を決意。それまで周囲を覆っていた濃霧が、部隊の雄たけびとともに瞬時に晴れ渡ったと言い伝えられています。
これを受けて池田隊長率いる戦車隊は敵軍に向けて出撃するも、その後の戦闘で搭乗車両が攻撃を受け炎上、還らぬ人となりました。この時の池田隊長の決断、そして士魂部隊の奮闘がなかったら、わが国の領土はいっそう侵されていたかも知れません。
今年5月、令和3年度神奈川県戦没者追悼式は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため規模を縮小して式典が執り行われました。今を生きる私たちの平和は、先人たちの尊い犠牲のうえに成り立っている。改めて感謝の念が湧き起こります。
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