昨年11月29日、7人制女子ラグビーの日本代表「サクラセブンズ」は、リオデジャネイロ五輪の出場権を手にした。アジア予選決勝で勝ち越しのトライを決めたのは富岡西在住の小出深冬選手。大活躍した昨年を振り返るとともに、ハタチの抱負を聞いた。
五輪の切符がかかった決勝戦は約6000人の観衆が見守る中、秩父宮ラグビー場(東京)で行われた。「ファンの数に驚いた」と小出選手。アウェイでの試合が大半を占める代表戦に、耳慣れない日本の声援が響いた。
決勝の相手は、わずか数時間前に5対7で惨敗したカザフスタン。それでも「次がある」と気持ちを切り替えた。「『あと1勝』というのはあったけど、勝たなきゃというプレッシャーはなかった」。意気込みは強かったが頭は冷静だった。「スペースが見えた」という後半7分、小出選手は得意のステップを生かし勝ち越しのトライを決めた。「嬉しいというよりも、疲れる時間帯に1本取れてよかった」。均衡する場面で重要な流れを引き寄せ、そのまま14対7で振り切った。
世界レベル目指す
「女子ラグビーがこんなに注目される日がくるなんて」と笑う。五輪出場のニュースは新聞のトップを飾り、テレビ出演も本人が「どの番組に出たか分からないほど」。「いろんな人から『見たよ』って言われました」。だが、そんな風潮に浮かれることはない。「ブームを続けるためにも、代表チームは勝ち続けるチームでないと」と襟を正す。
大舞台まで8カ月。課題は山積みだ。五輪出場の勝利の余韻に浸る間もなく出場した「HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ」のドバイ大会ではイングランドやオーストラリアに大敗。得意とするステップも通用しなかった。「今はまだアジアレベル。あと8カ月で世界レベルにしたい」。冷静に「世界との差」を測る。「目標はあくまで優勝」と穏やかに言い切る。
オンオフあるハタチに
昨年は所属するクラブチーム「アルカス熊谷」で中心選手として活躍。太陽生命ウィメンズセブンズのシーズン優勝に貢献し、初代MVPも獲得した。「大きなケガもなく、乗り切れた。一年前よりうまくなったかな」と冗談めかす。
12月21日には20歳の誕生日を迎えた。「(ハタチは)すごく大人なイメージ。実感はないですね」。夢に向かって頑張る同世代を見ると、「自分も」と力が入る。代表、クラブチーム、大学――「しばらくはラグビー漬けの人生だと思う」。だからこそ、自分の時間を大切にしたいと考える。「目標はオンオフを切り替えられる”大人”です」
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