ぬいぐるみなどの創作を行う片岡メリヤスさんの活動10周年を記念した企画展「メリヤスの人形の家」が3月13日(日)まで、横浜人形の家で開催されている。
同展では、人形の家が所蔵する世界各地の民族人形や民芸品、ビスクドール、土人形など約100体をモチーフに片岡さんが独自の視点でぬいぐるみに大変身させたという新作が並ぶ。チラシのメインビジュアルに載っていたぬいぐるみの何とも言えない愛らしい表情に惹かれ、記者が訪れた。
設定が面白い
全て、モチーフとなった人形と片岡さん作のぬいぐるみが並んで展示されている。さすが"人形の家″というだけあって、収蔵品のバリエーションの多さに驚かされる。100体の人形の中には、正直なぜ、この人形が選ばれたのか?と思うものも多く、素人目には「実家のサイドボードに飾ってありそうな土産品」的な人形もちらほらあり(実は学術的に価値のあるものかもしれないが)、今回の作品展でなければ日の目を見ない人形もあっただろうと推測。それが、片岡さんに見いだされたことで、新たな魅力を兼ね備えたぬいぐるみに生まれ変わっている。
特にツボだったのは、ぬいぐるみに添えられているコメントだ。例えば、メインビジュアルに使われていた民族人形(台湾・20世紀後半)は「パンクピエロ」=写真=と名付けられ、「パンクバンドをやっているふりをしながら実はフォークギター初心者のピエロ。音楽が好きでレコードを集めたい」と書いてある。作品の説明というよりは、ぬいぐるみ1体1体にストーリーを感じるキャラ設定のような内容で、読んだ後にぬいぐるみを見ると愛着がふつふつ湧いてくる...。コロナ禍でストレスを感じることが多い中、ぜひ見て欲しい癒しの空間が広がっている。
とにかく癒される
同展は、作品の写真撮影がOKなのも嬉しいところ。普段人形にはさほど興味のない記者も、あまりのかわいさにお気に入りの作品を何枚か撮影。なお、現在展示されている作品のうち90体は、会期終了後に抽選販売されるため、「メリヤスの人形の家」の全作品が一堂に見られるのは今回のみ。
片岡さんが会場に掲げられたあいさつ文の中で「人形の家にはまだまだ眠っている人形がたくさんいます。人形の家が続く限り、人前に出るチャンスを狙っている人形がたくさんいるはずです。(と同時に人前に出たくなくてずっと眠っていたいと思っている人形もいるはずです。)」という通り、同館にはまだ知られざる人形たちが沢山あるはずだ。今回運良く脚光を浴びることができた人形たちの誇らしげな顔を愛でながら、チャンスを狙っている人形たちに思いを馳せた。
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