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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2024.10.24

指揮活動70周年、卒業コンサートを11月16日、県立音楽堂で行う
吉田 孝古麿(こうこまろ)さん
中区野毛町在住 90歳

卒寿で迎える卒業公演

 ○…卒寿を迎えた今年、指揮を務める6つの合唱団で卒業コンサートを行っている。70年の指揮活動の最後を飾るのは横浜混声合唱団のコンサート。「ここまでやってこられたのは、みんながいたから」と穏やかに話す。自身のモットー「うたがあるから、みんながいるから」を胸に、舞台に立つ。

 ○…北海道生まれ。戦時中に横浜市内に居を移し、終戦を迎えた。老松中学校3年生の時、音楽教室にあったピアノに魅せられた。「弾いてみたい」との思いが溢れ、用務員に鍵を貸してもらい始業前、昼休み、放課後とピアノに向かい独学で学んだ。「同級生がのぞきに来ても気にならなかった。1年で3年分は練習した」。高校は共学になったばかりの横浜平沼高校へ。そこで出会ったのが恩師・佐藤一夫氏。オーケストラ部に在籍し、その後、混声合唱団を立ち上げた。「合唱の原点ですね」

 ○…学習院大学政経学部の入学と同時に、作曲家・石渡日出夫氏のもとで、作曲法を学ぶ。一方で、佐藤氏が指揮を務めていた横浜混声合唱団の前身の合唱団でも活動。20歳という若さで合唱指導を始め、大学を中退し本格的に音楽の道へ。数多くの合唱団の指揮・指導を務めるようになった。手がけた作曲・編曲・訳詞は数限りない。「辞めようと思ったことは一度もない」と充実した音楽人生を振り返る。

 ○…「自分が贈ってもらって嬉しかったから」と、団員が結婚した時には必ず「祝婚歌」を作曲し贈ってきた。愛情を注いだ合唱団との最後の舞台は指揮デビューの地・県立音楽堂。「絶対にここでやりたかった」。これを機に指揮活動から卒業し、「みんなのために作曲・編曲に打ち込みます」。音楽への思いは枯れることがない。

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