山中竹春横浜市長は11月7日の定例記者会見で、青葉区で10月に発生した強盗殺人事件を受け、既存の電柱につける「共架型」防犯灯の設置拡充を発表した。市は当初予算を増額し、新たに約260灯の防犯灯を今年度中に市内全域へ整備する。
市は住宅地における夜間の地域住民の歩行の安全確保と犯罪防止を図るため、LED防犯灯新設事業を実施している。自治会町内会から寄せられた申請を予算の範囲内で選定し、進めてきた。
今年度、電柱に灯具をつける電柱共架型については144灯の新設を予定し、約500万円の設置費用を用意していた。しかし、10月中旬に青葉区鉄町の住宅で男性が殺害され金品を奪われた事件を受け、市は5月末までに申請のあった330件のうち、設置条件を満たす約260件について当初予算を超えて対応する。市民局地域支援部地域防犯支援課担当者によると、約900万円の費用を見込む。
市は約18万灯の防犯灯を管理しており、昨年度の事業費は約6億5千万円を計上。そのうち、電気代が約3億5千万円と50%以上を占める。物価高や電気代の高騰もあり、比較的費用を抑えられる共架型の防犯灯でも過去5年に要件を満たした約2240件のうち、約1560灯と設置は7割にとどまる。すべてに対応できない市予算の台所事情があった。
しかし、山中市長は会見で防犯カメラの設置拡大にも触れたうえで「LED防犯灯の整備など、ハード面の支援を積極的に行う」との方針を自ら示した。
「安全のために必要」
事件が発生した鉄町内会では、通学路などスクールゾーンを中心に防犯灯の新設を進めており、今年度も10灯を申請していた。事件を受け、住民からも防犯灯設置を求める声があり、金子茂文町内会長は「夜間の安全のために防犯灯は必要。(拡充については)今年度だけでなく、次年度以降も増設できるように予算を確保してほしい」と訴える。
市民局担当者は「今年度に関してはスピード感を持って要件を満たしたすべてに対応をしていく」と整備方針を語る。
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