人育て、店･商店街に活気を

　○…弁当・惣菜店「あしな」を経営し、歴史ある商店街の代表に就いた。「まずは客足をコロナ禍前に戻したい。各店舗が組合に入って良かったと思ってもらえるようになれば」と述べ、商店街が行う７月の「レシート抽選会」では、自らの発案でこの２年間に組合に入った店舗のみで使える商品券を用意。早くも課題である新店舗の組合加入への対策を講じた。

　○…商店街で銭湯を営む家の長男として生まれた。後に惣菜店も開店。小学生の時から、湯を沸かすための薪を割り、弁当用の米を運んだ。「長男だから継ぐものだと思っていた」。大学卒業後に惣菜店へ。店の売上は下降気味だったが、店の存在を知らせるための新聞を作ったり、アンケートを行い、客との距離を縮めたことが実を結び、徐々に売上は回復。軌道に乗った後は店の改装を行い、常ににぎわいのある店となった。

　○…店舗経営で強く意識するのは、人材育成。「頑張って働いたのならば、見返りがほしいのは当然」と給与などの待遇面だけではなく、独立を希望するスタッフの支援も惜しまない。これまでにスタッフ３人が自らの店を構えた。「思いを大切にしたい」と店舗にとって大切なメニュー開発もスタッフから出されたアイデアを生かすようにしている。

　○…妻も一緒に店に立ち、保険会社勤務を経験した長男も昨年秋に加わった。「長男は営業回りにも意欲を見せている」と父として息子の存在に心強さを感じる。この時期はほぼ毎日、大口顧客のために夜通しで弁当を作り続ける。息抜きは夫婦での旅行。「商店街の仲間とも弘明寺の店で飲んで、食べて関係を深めたい」と話し、下町の雰囲気を商品やサービスに反映させ、弘明寺に活気をもたらしていく。