2月から在日外国人の学習支援などを行う「信愛塾」で事務局次長を務める 王 遠偉(おう えんい)さん 高根町在住 27歳
自分が育った場へ恩返し
○...外国籍や外国にルーツを持つ子どもの学習支援などを行う中村町のNPO法人で2月1日から事務局次長、中国語通訳、日本語指導員として働く。信愛塾には中学2年から通っているが、40年を超える歴史の中で出身者が正規スタッフになるのは初めて。
○...中国福建省で生まれ、13歳まで伯母に育てられた。小学校卒業を機に、日本で働く両親と暮らすために来日。家族と一緒に暮らせる喜びよりも、日本の言葉も文化も分からない新生活への「不安が大きかった」と振り返る。来日後、平楽中学校に入学。日本語の専門学校にも通うが、言葉の壁に苦しみ、中学2年生から信愛塾で日本語や勉強を教わるように。「自分と同じような人がいるんだと安心した」。県立鶴見総合高校に進学後は、信愛塾で小中学生に日本語などを教える立場に。大学、大学院を経て埼玉県で技術職として就職した後も、土曜日やイベントのある時はボランティアとして活動。1月末で会社を退職し、正式に働き始めた。
○...正社員の職を辞してまで信愛塾で働くことを決めた理由を「恩を返したいから」と話す。日本語が分からず、仕事で忙しい両親が不在の家で一人きりだった時、「信愛塾が自分の家より安心できる居場所だった」という。「ここがあったからこそ今の自分がいる。恩を返していきたい。後悔したくなかった」と強い決意をにじませる。
○...休日はマニュアルミッションの愛車、「フィット」を走らせ、富士山などの風景を撮影しに出掛ける。信愛塾のイベントなどでピアノの腕前を披露することもあり、子どもたちからは福建省の方言で弟を意味する「デデ」の愛称で親しまれている。子どもたちのために育った場所で恩返しの日々が始まった。
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