横浜市が物価高騰対策として行った「レシ活」のポイントが期限より前に失効していた問題で、市は８月２日、期限前に失効した約４億円分のポイントを９月中旬に対象の約９万５千人へ返還することを明らかにした。利用者から安堵の声が出る一方、市や運営事業者の公金の扱い方に厳しい見方も出ている。

　レシ活は市から業務委託を受けたＷＥＤ株式会社＝東京都＝が運営するアプリ「ＯＮＥ」を使い、レシートを投稿すると、後日、ポイントが付与される仕組み。ポイントは電子クーポンへの交換や銀行口座へ出金できるようになっていた。

　ＯＮＥの規約では、ポイントの有効期限は最終付与日から１２０日だったが、６月13日に発生したシステム不具合で、１２０日経過前に約９万５千人の約４億円分のポイントを失効させていた。

メッセージで通知

　市はＷＥＤに失効分のポイント復活を求め、協議を続けていた。その結果、期限前失効分は９月11〜15日にアプリ上で自動的に復活することになった。対象者には事前にショートメッセージやアプリ上のプッシュ通知で返還が告知される。復活したポイントの有効期限は来年１月13日で、期限を過ぎて失効した場合は市に返還される。

　１２０日経過後に失効したポイント分については返還対象外だったが、相当額をＷＥＤが市に返還することも発表された。ＷＥＤの発表では「システム不具合により混乱を招いたことを組織として重く受け止めた」としており、自主的な返還だという。

事業者への不信も

　返還が決まったことに関し、ＳＮＳではレシ活の利用者から「期限前失効分の返還は当然だが、市が動いてくれて良かった」という声が出る一方、「ＷＥＤからの情報が少なく、失効額が正しいのか分からない」との意見も出ており、市民生活のための事業に充てられた公金の扱い方に厳しい目が向けられている。

　２日の会見で山中竹春市長は、「多くの市民を不安にさせ、心配をかけて心苦しい限り」と語り、ＷＥＤとの契約のあり方などを検証していく意向を示した。