寄り添いとつながり大事に

　○…総務大臣から委嘱を受け、行政活動に関する苦情や相談を受け付ける行政相談委員を２００５年から務める。表彰に「地道に続けてきたことが評価されて良かった」。相談委員は全国に５千人、南区には４人だけ。注目されることは少ないが「皆さんが安全、安心、快適に生活できるよう、住民と行政をつなぐ役割」と強調する。

　○…南太田で生まれ育つ。大学を出た後はシステムエンジニアとして仕事に没頭する日々。転機が訪れたのは、町内会長で地域活動に熱心だった父が１９９４年に他界した後。95年から青少年指導員、体育指導委員（現・スポーツ推進委員）に就き、それまで無縁だった地域との接点ができた。青少年指導員が小中学生を対象に行う夏休みのキャンプは「子どもとふれあえるのが何より楽しかった」と20年以上も携わり、「参加していた当時の子どもが今でもまちであいさつしてくれる」と目を細める。

　○…行政相談委員は月１回、南区役所で行われる相談会で市民の声を聞く。国や県、市に対する苦情や要望を受けるが、その領域は広い。「最近は自身の経済的な困りごとに関する相談が多くなった」と感じている。「まず話を聞き、相談者に寄り添うこと」がモットー。母校の南太田小で行った”出前教室”で児童から要望が出た大岡川プロムナードの歩道部分が実際に改善された際は「つなぐことができた」と強く実感したという。

　○…30代から水泳を始め、週２回は泳ぐ。家を訪れる３人の孫と蒔田公園へ行くのが楽しみ。コロナ禍以降、地域行事が減り、住民のつながりが希薄になっていることが気掛かりだといい、「地元のつながりを作りたい」と、自身が経験した活動での多くの出会いを地域に還元していく。