本紙は昨年４月に就任した南区の高澤和義区長にインタビューを行い、今年度の区政運営状況や昨年12月に南区制80周年を迎えたことを祝う記念事業の感想などを聞いた。この中で高澤区長は「コロナ禍で途絶えていた地域のつながりを取り戻せるような取組を進めたい」と語り、地域活動の充実などを軸にして区制80周年から新たな一歩を踏み出していくとした。（聞き手・門馬康二）

区民の温かさ実感

　――区長に就任してから９カ月間を振り返り、どのようなことを感じましたか。

　「５月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが５類になったことは、地域だけでなく、区役所としても大きいことでした。それ以降、様々なイベントに伺いましたが、皆さんが笑顔で出迎えてくれ、区のキャッチフレーズである『南の風はあったかい』を実感しました。南区で働かせていただくことに誇りを感じています」

　――昨年12月に南区制80周年を迎えました。

　「区制80周年を契機に、どのように地域のつながり、まちのにぎわいを回復させるかが重要です。お祭りや健民祭などの行事に伺う中で、皆さんから地域を盛り上げたいという思いを強く感じました」

積み重ねた歴史

　――区制80周年に関連し、様々な行事が行われました。

　「記念事業実行委員会や地域の皆さまが関係機関と連携して取り組んでいただいたことに感謝しています。12月１日の記念式典には多くの方に来ていただき、一緒にお祝いをすることができました。皆さまからお話を伺うと、南区がこれまで積み重ねてきた歴史の重さを感じ、区の発展のために誠心誠意努めていかなければならないと改めて決意しました」

　――その中で特に印象に残った事業は。

　「記念事業として、皆さまから応募していただいた写真を使って動画を作りました。皆さまの南区への思いが表れるものとなりました。そのほかに、11月の南区文化祭での日立製作所と永田中学校吹奏楽部のコラボレーション演奏が印象に残っています」

魅力を発信

　――80周年で行った取組をどのように今後につなげていきますか。

　「地域のつながり、絆を深めていき、南区をもっと好きになってもらい、住み続けていただきたいです。昨年３月に決定したおすすめの飲食店を紹介する『みなみのおすすメシ』は南区を知っていただける良い企画でした。今後、ポータルサイトを立ち上げ、商店街やお寺といった南区の良さを知ってもらえる取組を進めたいです」

　――地域の関心が高い、防災や減災についての取組はいかがですか。

　「昨年は関東大震災から１００年の節目であり、防災に関する講演会や当時の南区の状況を振り返るパネル展もありました。５月から６月に各地域で行われた地区懇談会では、防災を議題にするところが多かったのも印象的です」

にぎわい回復へ

　――地域行事が徐々に再開しています。

　「行事再開の判断をしてくださったことに感謝いたします。ただ、コロナ禍で活動の担い手を育てられなかったり、不足しているという声を多く聞きました。未だに再開できていないものもあります。地域のつながりをコロナ前に戻していく時に、どういった形が良いのかを地域の実情を踏まえ、皆さまに寄り添って話し合い、にぎわいの回復に務めたいです」

子育て支援進める

　――市全体として、子育て施策に力を入れています。南区の取組は。

　「区役所窓口でスムーズに手続きができるような工夫を進めました。例えば、こども家庭支援課の待ち合い場所にキッズスペースを整備しました。また、子育て相談をオンラインで行えるようにしました。引き続き、相談環境の充実や子どもの居場所作りにも取り組みます」

　――市は２０２７年の国際園芸博覧会への取組にも力を入れています。

　「まずは皆さんに２０２７年に開催されるということを知っていただき、横浜全体で盛り上げられるように、丁寧に情報発信をしていきます」

３月 みなみ桜まつり

　――今年度、残り３カ月となりましたが、どのような取組に注目してほしいですか。

　「３月に行う『第１回みなみ桜まつり ２０２４』は南区全体で盛り上げたいです。財産である大岡川の桜を区内はもちろん、区外の方にも知っていただき、桜を守る取組を進めていきます」

住み続けたいまち

　――南区民へのメッセージをお願いします。

　「『地域の皆さまとともにつくる あったかい 南区』を運営方針の基本目標に掲げています。今年もつながりやあったかさを感じられ、ずっと住み続けたいと思える南区を目指し、職員一同、全力で取り組みます」