中原区 社会
公開日:2026.08.28
高石町内会 地域防災 まち歩きから 根岸副会長に聞く
「自分の足でまちを歩き、どこにどんな危険があるかを知ること。それが地域防災の原点です」。そう語るのは、防災士としての知見を生かし高石町内会(麻生区・約2900世帯)で防災対策の指揮を執る根岸哲也さん(71)だ。
阪神・淡路大震災の被災者でもある根岸さんは2016年、町内会活動の柱に防災を掲げ、自ら防災士の資格を取得。高石地区は丘陵地特有の急傾斜が多く、75歳以上の高齢者や一人で避難できない要支援者が多く暮らす。こうした地域の特性を見極め、長年にわたり独自の防災体制を築いてきた。
同町内会は、他に先駆けDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。例えば、「防災まち歩き」を活用して作成する「デジタル防災マップ」は、約180ある「組」ごとに高齢者や要支援者の住まい、盛土や崩落の恐れがある危険箇所などをネット上で見られる優れものだ。さらに、SNSを活用した連絡網の構築や、独自に開発したアプリで発災時の安否確認・救援要請ができるシステムのテスト運用も始めたという。
デジタル化の一方で、現場で役に立つ体験型訓練にも力を入れている。一般的な避難所に配備されるダンボールベッドは重く組み立てが困難な場合もあるため、同町内会では持ち運びやすく軽量な「キャンプ用コット(折りたたみベッド)」の備蓄を推奨する。川崎市アートセンターでのイベントでは、ワンタッチテント等とともに来場者に披露。また、地元の公園で行う訓練では、発災時に最も深刻な課題となる「トイレ問題」に着目し、日本赤十字社の協力のもと、簡易トイレの使い方を住民自ら体験する機会を提供している。
子どもから高齢者まで幅広い世代を巻き込むため、ダンス発表や合唱、地元小中学校での「防災教室」の開催、公園体操を通じた顔の見える関係づくりも欠かさない。根岸さんは「いざという時に助け合える『共助』の基本は、日頃のコミュニケーション。まちを歩き、危険を知り、隣人と顔を合わせることが、我が家の防災力を高める第一歩になる」と共助の大切さを訴えた。
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