さがみはら中央区・緑区 社会
公開日:2026.10.13
共生への道 災害時、現状は分けるも一手 障害者と支援者を取材
全国各地で地震や豪雨などの災害が発生する中、周囲からの偏見などを恐れて障害者が避難をためらうことが課題になっている。当事者らを取材すると、障害への理解が広まっていない現状では、一般の避難所において障害者と他の人を分ける措置が重要な選択肢の一つになっていることが見えてきた。
福祉施設「七宝」(中央区上溝)の所長で相模原市障害者地域作業所等連絡協議会の会長を務める栁谷守さんは、「一般の避難所で周囲の人が障害者をどの程度理解してくれるか」と不安を抱える。障害者の中には、避難所という普段と異なる環境では、パニックになる人や自傷・他害する恐れのある人がいるためだ。自閉症の人は狭い空間や子どもの声が苦手なケースがある。
知的障害があり、同施設を利用する漆原信幸さん(39)は、災害に対して激しい恐怖心を抱く。東日本大震災がトラウマになっており、地震が発生すると「死ぬんじゃないか」「身内の人と連絡が取れないんじゃないか」などと強い不安を感じるという。
栁谷さんによると、障害への社会の理解が醸成されておらず、障害者の避難控えにつながっている現状では、避難場所において障害者と他の人たちを分けることも重要な選択肢という。共生社会への道を逆行しているようにも見えるが、避難控えが発生してしまう状況そのものが、健常者と障害者の分断を生んでいる。
漆原さんは「自分のことを分かってくれる人や同じ施設を利用しているみんなと一緒にいられると安心」と話す。
福祉避難所より一般の避難所
相模原市では災害発生後3日目を目途に、障害者など一般の避難所での生活が難しい人を受け入れる「福祉避難所」を開設することになっている。民間福祉施設を活用するもので、本人の状態や開設状況に応じて市災害対策本部が受け入れを調整する。専門知識がある人が障害者を支援できる利点がある。
ただ、栁谷さんは、施設数が足りるのか、混乱した発災時にどの程度スムーズに受け入れてもらえるのか、受け入れ施設は元々の利用者支援で手一杯ではないか、そもそも福祉避難所について当事者や支援者への周知は行き届いているのか、と懸念する。「生活に必要な物資の供給を受けるためにも、一般の避難所の中を分けて過ごせるようにするのも一つ」と話す。
一緒に過ごせる社会へ
県や市が目指すのは障害への理解が人々の間に広がり、互いに安心して同じ空間を共有できる社会。栁谷さんは「自閉症の人がいたら『大丈夫ですよ』と声掛けしたり、大きな声を出している人がいたら『うるさい』ではなく『困っているんだな』と手を差し伸べたりといったことが当たり前にできる世の中になったら良い。自分が困っていることや不安に思っていることを伝えられない方もいるので理解が進んでほしい」と語った。
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