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問われる「共生」 共生社会へ、舵を切れるか 第2回 和泉短期大学 鈴木敏彦教授

掲載号:2017年2月2日号

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取材に応じる鈴木教授
取材に応じる鈴木教授

 障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた入居者殺傷事件を考える連載企画の第2回目。今回も前回と同じく「障害者と施設」をテーマに、神奈川県障害者自立支援協議会の会長を務める和泉短期大学(中央区青葉)の鈴木敏彦教授へ「共生社会」の実現に必要なことを聞いた。

 今回の事件が起こったやまゆり園は重症心身障害者が利用する入居施設。同様の施設は全国に点在し、当事者や家族を支える役割を果たしているが、鈴木教授は「障害者政策においては全世界的に『施設から地域』への移行が進んでおり、スウェーデンでは1999年に知的障害者施設を全廃している」と障害者を取り巻く環境の変化を説明。日本も2014年に、誰もが地域で暮らすことができる権利などを保障した「障害者の権利に関する条約」を批准し、国も障害者が生まれ育った地域で暮らせる社会をめざし、地域のグループホームの整備に力を入れている。ただ、鈴木教授は「日本では障害者のグループホーム建設に対し、周辺住民から反対運動が起きるなど『施設から地域』は道半ばです」と話す。

 そんな過渡期に起きた今回の事件。「生まれ育った地域で暮らすというのは誰もが保障されるべき『当たり前』のこと。今回の事件を受け『施設から地域』の流れが止まることはあってはならない」と強調した。

 事件後、県はやまゆり園の再生をめざし、現地での建替えを大筋で決定していることに関して「『施設から地域』の流れがある中で、以前と同じような施設を建設する案には疑問を感じる」と問題点を指摘。一方、やまゆり園の家族会が現地での建替えを要望していることについては「住み慣れた環境で暮らしてほしいという思いは、家族であれば自然な感情だと思う。ただ、地域で安心して暮らせるグループホームが増え、今以上に利用しやすくなれば違った考えになる方もいるかもしれない」と話す。

 鈴木教授は「共生社会」の実現に向けてハード面の再考を挙げた上で、施設で働く人々への支援も重要視する。「施設の再建や精神障害者を取り巻く制度の議論はもちろん大切ですが、現場で働く職員をどう支えていくかも非常に重要」と話す。鈴木教授が重要視するのは賃金引き上げなど実質的な待遇改善だけではない。「職員が安心して働けるよう『支援者への支援』の実践が求められる。現場の問題を個人に押し付けるのではなく、相談しやすく的確な助言をしてくれる人を配置し、組織で問題に向き合うことが必要」とした。

 鈴木教授は「今回の事件は結果的に、私たちが『共生社会』に向けて舵を切れるのかを問うことになった。それは障害者だけの問題にとどまらず、私たち一人ひとりの未来に関わること。障害者であっても、認知症であっても地域の人々に見守られながら、安心して過ごすことが出来る社会を実現するには、今しっかりと舵を切ることが重要」と、日本の未来を見据え、一人ひとりがこの問題に向き合うことの必要性を説いた。
 

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