さがみはら緑区 トップニュース教育
公開日:2023.12.14
広田小6年細田君
神社境内で錫杖頭(しゃくじょうとう)を発見
学校で展示「見てほしい」
広田小学校の細田蕾希君(6年)が11月に川尻八幡宮の境内で錫杖頭を発見したことを受け、12月5日に同校で関係者が集まり常設展示のための記念式典が開催された。細田君は「ぜひみんなに見てほしい」と貴重な歴史資料の常設展示を喜ぶ。
江戸時代以前と推測
細田君が発見した錫杖頭とは、修行者が使用する杖の先端に付いている金属部分のこと。細田君は11月2日、総合的学習の時間の授業で地域の研究のために川尻八幡宮を訪れた。社務所北側の斜面で地面から飛び出しているものを見かけ、土を掘り返すと錫杖頭が出てきたという。「昔のものだとは思わなくて、誰かが作ったものが埋まってただけかと思った」と細田君。引率の教諭に見せると、「すごいものかもしれない」と学校へ持ち帰ったという。
その後市の文化財保護課に相談を持ち掛けると、銅製品で作られた錫杖頭であることが分かった。引率で授業に同行していた地域の歴史に詳しい保坂健次さんは、「調べると江戸時代を含むそれ以前に使われたものだと推測される」と話す。細田君は「教科書で見たことはあるけど本物を見るのは初めて。本当にすごいものだと聞いてびっくりした」と振り返る。発見した細田君の「みんなに見てほしい」という意向を周囲がくみ取り、川尻八幡宮の了承を得て、同校で展示することとなった。式典で細田君は「柄や模様が生で見るととてもきれい」と話すと、展示物を見た児童は「昔からのものが地域に落ちているなんて、もしかしたらまだすごいものがあるのではと思っちゃう」と興奮気味に話した。
錫杖の発見は稀
細田君が発見した錫杖頭は全長10cmほど。上部は2頭の龍が向き合っており、その中心に十字文が施されている。下層には八角錐をした金属棒が伸びる。保坂さんは「金属棒の2カ所に釘を通した釘穴が残ることから、おそらく手で握れるほどの木棒があった」と予想。さらに「この錫杖は祭祀用具かと思われる。なぜ土中に埋もれていたのかは不明」と続ける。
川尻八幡宮の安西圭一宮司は「見せてもらった時は、神道にこのような道具はないので何なのかと思った。知り合いのお寺さんに聞いて錫杖だと分かった」と話す。「聖徳太子の時代に仏教が伝わり、明治の廃仏毀釈までは神社と寺は一緒にやってきた。今回の発見で川尻八幡宮もそうだったことが想像できる。よくぞ見つけてくれたと言う気持ち」と感謝する。また、市文化財保護課の担当者は「市内でも土器の一部が見つかるのは年に数回あるが、今回のような錫杖が見つかるのは稀だと思う」と話す。
なお、錫杖は同校の展示場に設置。地域住民も見学することができる。
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