少子化対策の一環として大和市はこのほど、不育症治療への助成を県内で初めて開始すると発表した。9月定例会に事業費151万円を盛り込んだ補正予算案を提出。成立を待ち10月1日にもスタートする。
不育症とは、妊娠しても流産や死産、新生児死亡を繰り返す病気だが、認知度が低く専門医も少ないことから国が、平成20年に研究班を創設。現在も有識者による研究が進められている。
厚生労働省にあるこの研究機関によると、不育症の原因は、子宮や甲状腺、遺伝子レベルの異常など複数あり、その治療法もさまざま。妊婦の2〜5%が不育症で悩んでいるとされているが、専門外来で検査、治療した人の8割以上が無事に出産しているという。
全国で10カ所
不育症では、検査に訪れる段階で複数回の流産や死産などを経験しているケースがほとんど。加えて検査費用や治療費のほとんどが保険適用外のため、精神的負担とあわせ経済的な負担が問題視されている。
こうしたなか国に先駆けて独自の財源で助成制度を設けている自治体もあるが、その数は全国で10自治体。
都道府県では和歌山県の1県のみで、ほかには秋田県内で1市、石川県内で2市1町、岡山県では4市、神奈川県内には助成制度のある自治体はなく、関東でも茨城県内の1市だけ。
主婦の活動
独自の制度をもつ自治体では、患者の声が行政施策に反映された例がほとんど。神奈川県内では昨年12月に伊勢原市内に住む主婦、工藤智子さん(34歳)が立ち上げた「不育症そだってねっと」のメンバーが、県内各地で行政にアプローチして助成制度の創設などの支援拡大を目指している。
大和市内でも昨年末に同会のメンバーが「市長の手紙」を通じて現状をうったえ、6月議会では市長に近い新人市議が助成制度の創設を提案したことで検討が始まり、9月補正で事業化する方針が決まった。
工藤さんは「県内初の助成制度の創設は、他の自治体への波及を考えると非常に大きな一歩」と、大和市の取り組みを歓迎している。
30万円まで助成
大和市が予定する助成は、大和市に住民登録か外国人登録がある法律上の夫婦が対象で、夫婦合わせて730万円未満の所得制限を設ける。
助成は、不育症治療で支払った自費診療の自己負担額の半額分を、申請に基づき年間30万円まで支給する。問い合わせは市こども総務課/【電話】046(260)5801へ。
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