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公開日:2012.05.25

避難生活1年渡邉さん夫婦
孝行息子が五輪へ
自転車競技日本代表 渡邉一成選手

  • 一成さんが載った新聞や雑誌はほとんど取ってあるという渡邉さん。手前のメダルは北京五輪出場時の記念品。

  • 競輪選手としても活躍する渡邉一成さん(家族提供)

 東日本大震災で被災した福島県双葉町から避難し、大和市営鶴間台住宅に入居している渡邉善行さん(63歳)と知子さん(58歳)夫婦の長男・一成さん(28歳)が、ロンドン五輪・自転車競技トラック種目男子の日本代表に選ばれた。ふるさとから遠く離れた地で聞いた朗報に、善行さんは「誇りの息子。被災地に元気を与えるような活躍をしてほしい」と話している。



 渡邉さん夫婦が住んでいた双葉町は震災時、震度6強を観測。自宅は倒壊し、当日から双葉中学校での生活を強いられた。一成さんは生活拠点を静岡県に移していたため、被災を逃れたという。その後、叔母を頼り横浜市に避難。昨年4月から県の支援を受け、大和市で暮らしている。



 福島第一原発にも近く、震災から1年以上経た現在も警戒区域に指定され、国の許可なしでは入ることができない。それでも4度ほど帰宅し、一成さんが獲得したメダルや賞状、自転車用タイヤ、家族のアルバムだけは持ち出したという。



 一成さんから「日本代表に決まった」と連絡があったのは5月1日。翌日には地元新聞「福島民報」でも大きく取り上げられ、朝日新聞にも記事が掲載された。「嬉しかったのは全国に避難していた知人から、続々と祝福が届いたこと」と善行さんは言う。



 一成さんは4年前の北京五輪にも出場し、「チームスプリント」で6位。今年4月の世界選手権でも4位入賞と、メダルの期待がかかる。ロンドン五輪の自転車競技は8月2日から7日まで。「本人も被災地への想いは強く持っているはず。ふるさとを笑顔にするメダルを期待したい」と知子さんは話している。

 

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