東日本超復活祭実行委員会の実行委員長を務める 大久保 貴正さん 吉岡在住 35歳
シンプル且つハートフルに
○…「花火の代わりに夏祭りやっちゃいます」とチャリティイベント開催を決めたのは4月末のこと。毎年花火大会のために奔走する商工会青年部にとって、今年は静かな夏になると思われたが「止められるものなら止めてみろ」と企画書を提出した。事業をさせてもらっている地域に恩返しをすることが、責任であり使命。岩手県人会元会長の父を通じて自ら関係者とコンタクトをとり、企画をあたためた。
○…「ニート」から一気に社長へ転身したのは8年前。ゲームやバンドに夢中になった学生時代、ゲームプログラマーを目指し、理系の大学に進むも就職は思うようにいかなかった。「月に3回位、マンガ片手にここのバイトをやるような感じ」。自嘲気味に当時を振り返る。父が定年を迎え、社員を解雇し「会社を廃業する」と聞き、ふとノスタルジーに駆られた。幼い頃から職人の作業場や事務所を見て周り、学校から帰ればいつもそこにあった作業風景がなくなると思った瞬間、言葉がこぼれた。「僕にやらせてくれ」。口うるさく「働け」と言い続けた母を驚かせた。
○…冷静沈着。板金作業のドリルで指を切断した時も、慌てることなくテレビで見た方法で自力で止血処置をしてから家族を呼び、救急車を呼んだ。数年前代表で出場した商工会の主張大会でも、緊張の糸がはりつめた舞台袖で、初めて会う人に他愛もない話をしたり、携帯をいじったり。ふらりと登壇した県大会は優勝。綾瀬から関東大会に出場したことがあるのは今でも2人しかいない。
○…会場は市役所南側広場にした。「照り返しが少ないし、日陰やベンチもあるから」。広さだけで決めず、当日の会場の様子を描きながら企画した。義援金集めではなく、物販で活性させる「日常的」な支援スタイルにして、募金をたくさんした人が楽しく支援できるようにしたのも、細やかな優しさが込められている。