綾瀬市消防団団長に就任した 鈴木 敦さん 上土棚中在住 44歳
地元・仲間、こよなく愛す
○…地域の防災を担う「消防団」の新しいリーダーに就任。市内6分団を統括し、地域の消防や防火に尽力する。東日本大震災では、同志である消防団員が亡くなった事や被災者でありながらガレキ撤去などをする様子が報道された。「震災では消防団員が253人亡くなりました。これからは団員の安全も重要課題。消防職員と相談して整備していきたい」。これからの舵取りに思いを巡らせる。
○…消防団入団は自然な流れ。父も着ていた制服には26歳のとき初めて袖を通した。小学生の頃、サッカーをする傍らで操法訓練をする姿は、いつの間にか見る側から見られる側に。新人の頃は現場に駆けつけても何をすべきか分からず戸惑うこともあったが、今では冷静にメンバーへ指示を出せるまでになった。鎮火後「すぐに消火活動をしてくれて助かった、ありがとう」と声をかけられた事は忘れられない。
○…少年時代から現在までサッカー一筋。高校時代は、当時の学区外受験で強豪県立旭高校に入学し、レギュラーでインターハイ2度出場や、関東大会2位などの成績に貢献した。大学でも第一線で活躍した。しかし上の世界に飛び込んで、同世代のスター中山雅史などを目の当たりにし、限界を感じた。監督からは社会人チームの紹介もあったが、サッカーとは無関係の道を選択。スポーツメーカーなどの内定もあったが、浮かんだのは父の背中。「長男でも絶対に継がないと思っていたんですが」。家業の同業種である石油商社へ就職。「家のことなんか気にしないでいい」と言ったのは父の方だった。いつも両親は何も言わず背中を押してくれた。
○…現在は165人が活動している消防団。職業も年齢も異なる仲間がたくさんできた。本部の活動から最近は市外の仲間も増えた。「やっぱり地元や仲間が好きなんで」。大好きなものを守るため、責任と思いやりを胸に取り組む。