綾瀬市書道協会の会長を務める 濱岡 見雲さん 上土棚南 69歳
日々勉強の積み重ね
○…文字に意を込め、作品とする「書」の道を志し65年。綾瀬市書道協会の4代目会長になってからは7年が経つ。会員は約70人。磨かれた作品が一堂に会す、協会の「書道展」が今日から4日間、市役所で開かれる。「日々勉強」。恩師の長所と自分の持ち味と古典に眠る意をかけあわせた「書」を磨き続けている。
○…左利きを右利きに矯正するために、書道の師範であった父に習い5歳から書道を始めた。小学校4年生の時、父の机にあった図録で西村桂洲氏の作品に心奪われた。美しく、意の宿る書。衝撃を忘れられないまま、大学、会社員となったが、ついに諦めきれず29歳で妻に打ち明けた。「会社を辞めてもいいか」。返ってきた返事は「私が塾をやりますから大丈夫です」。書を愛す自分をずっと見てきてくれた妻。書道教室と塾で生計をたて、今日まで暮らしてきた。「今でも頭があがりません」と、目尻に皺をよせた。憧れの西村氏に便箋を綴り弟子入りを志願。真っ赤な添削に少し遅れて、弟子入りを許されたハガキが届いた時の喜びは、今でも忘れられない。
○…日展への入選や個展実施、弟子との個展開催など過去に掲げた目標はクリアし、書のメッカ中国での展覧会や書の交歓会も果たした。現在は可能な限り勉強に励む。時間だけは万人に平等、1日は同じ24時間ある。「超一流には追いつけなくても、回を重ねてたくさんやれば、その分だけ成長できる」。漢字の歴史、中国の歴史、筆さばきなど、勉強すべきことはまだまだ山積みで「バリバリの現役です」と目を輝かせた。
○…「実は最近、大病を患って何もできなかったんです」。生死をさまよう状況だったことも笑顔のままさらりと話した。「死を恐れたり、落ち込むことはありません」。為すがまま、成るがまま、自由に生きる。型にはまらず字に意を込め書き上げる「書」のように、勉強を重ね、さらに幅のある自分をめざす。