第20回全国優秀吟者吟道大会に出場する 川崎 道子さん 寺尾釜田在住
まずはやってみること
○…花鳥風月、詩に込められた先人たちの想いを、今の人達へ伝える――。その業に魅せられ早25年。全国の195団体・約7万人が所属する公益社団法人「日本詩吟学院」の全国大会に出場を決めた。地区大会ではトップバッター。足が震え、緊張はおさまらなかったが、和歌に託された古人の感動や哀愁を、正確な音と抑揚で吟じた。
○…中学生の頃、社会科の授業で、教師が涙を流して吟じた事があった。当時は意味もわからなかったけれど、今でも覚えている。40歳になり、綾瀬の文化会館で市内の団体が披露する詩吟に再び出会った時、当時がフラッシュバックした。歌に込められた作者の想いに共感し、それをじっくりと伝える詩吟。早速習い始めることにした。はじめは腹式呼吸の発声練習から始まり、1年ほどで人前で披露できるように。時には思うように歌えず諦めようとしたこともあるが、今では10段の腕前に。
○…「まずはやってみる。ダメだったらやめればいい」。興味があるものは何でも挑戦するため趣味は幅広い。しっとり吟を堪能したと思えば、箱根の大自然の中でゴルフを楽しんだり、庭で小さなメダカを育てたり、時には旅行も楽しむ。「1日30分でいい。時間を作ればいろんなことができるからね」。着物が好きで始めた着付けにおいては、結婚式場でプロとして客人を担当するほど。近隣の綾瀬高校で着付け教室を開いたこともある。「古来のものは日本の風土に合っているもの。若い人に伝え繋いでいきたい」。大好きな「和」への想いがこぼれた。
○…「詩吟はマイナーだけど素敵なもの。少しでも広めたい」。先人の詩には喜びの詩があれば悲しみの詩もある。冠婚葬祭、どんな場面でも素晴らしい詩に自分の気持ちを重ねられる。時代は変わっても同じ風土を生きる日本の心はリンクできる。充実した日々のなかで感性を磨き、9月の全国大会へ挑む。