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取り払え 地域との「壁」 ミノワホームで庭びらき

社会

掲載号:2016年11月4日号

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庭のコンセプトを解説する馬場拓也さん
庭のコンセプトを解説する馬場拓也さん

 津久井やまゆり園での事件以来、福祉施設ではセキュリティー強化の方向に進んでいる。そんななか、愛川町角田の特別養護老人ホームミノワホーム(愛川舜寿会)ではこれまで施設を囲っていた壁を取り壊し、誰でも利用できる開放的な庭を整備した。強化するのは「信頼関係」という絆のセキュリティーだ。

 ミノワホームの設立は1992年。他の多くの福祉施設と同様に、敷地の境界には1m50cmほどの壁があった。当時の防犯や認知症への意識から、施設を囲う壁はごく当たり前の存在であり、同時に「施設と地域」「特別と普通」という意識の隔たりでもあった。

 「特養と地域との境界を無くしたい」。愛川舜寿会常務理事の馬場拓也さんが構想を描いたのは3年ほど前だった。物理的な壁を取り払い、地域のだれもが利用できる場所を作ることで、特養と地域の距離を縮めることはできないか。

 デザインの起点は、建築家の金野千恵氏に協力を仰いだ。金野氏が埼玉県で手掛けた介護施設を見て、「この人に」と決めていた。植栽は造園家である徳光充子氏に依頼した。

 今年4月、ミノワホームと東海大学社会福祉学科の学生、日本工業大学生活環境デザイン学科の学生によるワークショップを開催。介護施設と、福祉・建築を学ぶ学生の3者により庭の細部を検討した。8月には、職員らが自分たちでハンマーを使い、壁を壊す「壁供養」が行われ、9月から工事がスタート。新たな庭へと生まれ変わった。

 10月30日に行われた庭びらきでは、職員や関係者だけでなく地域の住民なども参加して完成を祝った。

 日差しをしのげるあずま屋や、自動販売機を配した休憩スペース、季節の花が彩られた花壇、車イスに座りながら作業ができる畑など、随所に工夫が凝らされている。馬場さんは「地域と施設をグラデーションのように繋げる場所にしたい。地域との垣根をなくし、距離が近づくことで信頼関係が生まれることが、互いの安心にもつながっていく」と語る。

 高齢化の進む社会において、その重要度を増していく介護施設。ミノワホームでは来年度、内部の改装も予定している。介護施設をもっと地域に、自然に。新たな挑戦はこれからも続いていく。

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