葉山町空手道協会の会長を務める 平泉 忠廣さん 葉山町木古庭在住 71歳
礼と忍耐の精神もって
○…葉山に越してきて間もなかった頃、地域の子どもたち向けに開いた青空教室が始まりだった。細々と始めた空手教室には一人、また一人と門下生が増えていき、30数年の時を経て幼児から大人まで80人近くが通う大所帯に成長した。近年は実力のある選手も出始め、今年に入ってからは全国大会でも名を残すように。子どもたちの躍進する姿に「こんな嬉しいことはないですな」と目を細める。
○…日本で最も古い歴史を持つとされる松涛館流の黒帯7段。憲兵で武道堪能だった父の影響だったのかもしれない。大学生のとき武道との関わりを求めて空手部の門を叩いた。当時は度を超した上下関係に部を去るものが続出したが「最後まで続けなければ意味がない」と自らを鼓舞し、心身の鍛錬に励んだ。卒業後も練磨を続け、教職員が出場する全国大会で全国優勝をおさめたこともある。以来、空手との付き合いは半世紀以上。定年退職した今も関東学院大学空手道部の総監督を務めるほか、県空手道連盟参与や横須賀空手道協会会長も兼任するなど多忙な日々を送っている。
○…現役時代は高校の化学教諭として教壇に立った。空手家という印象がら、さぞ厳しい先生だったのではと尋ねると「鬼なんて言われたことがない。むしろ逆ですよ」と軽快に笑う。頭ごなしに指導するのではなく、生徒が理解するためにはどう伝えればいいか腐心して。40年来の教員生活は多くの子どもに空手を教える今に生きていると感じている。
○…伝えたいのは格闘技としての強さではなく、武道を通じたその精神だ。「まずは仲間や教えてくれる人への感謝、礼の気持ちを忘れないこと。それと忍耐。辛くても耐えることを知れば多少の困難があっても乗り越えられる」。それは何も空手だけに限ったことではない。「いつか大人として一人立ちするとき、空手で得たものが糧になってくれれば」。そう切に願っている。
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