逗子・葉山 人物風土記
公開日:2026.06.19
葉山まちづくり館ギャラリーで展覧会を開く版画家の 高柳 裕(ゆたか)さん 葉山町一色在住 85歳
衰え知らぬ自称「半画家」
○…明るく澄んだ詩情あふれる作風と、プレス機やバレンの代わりに踵を使う独自の「足踏み版画」で注目される版画作家の一人。葉山に住んで55年、初めて地元で展覧会を開催する。かつて葉山郵便局から絵葉書のデザインや、地元肉屋から包装紙の依頼を受けたことがあったが、東京での仕事が忙しく、実現できなかった。「これまでの埋め合わせをしたい」との決意で企画に臨む。
○…展覧会では自分らしさを出すため、「教え上手」を生かしてワークショップも実施。12年前にハワイ・ホノルル美術館で行った「足踏み版画講座」では、コミュニケーションの苦手な子どもたちが笑顔になり「高柳さんは魔法使いだ」と称された。駄洒落で人も引きつける。NHKで「落ち葉の版画」という番組に出演した際は、大きな作品に葉をたくさん並べた。タイトルを尋ねられ、返した答えは「64枚の葉っぱ。はっぱ(8×8)64ってね」と得意げに笑う。
○…東京都出身。勉強嫌いで昆虫が好きな子どもだった。絵は物心がつく頃から描いていて、紙と鉛筆があればおとなしかったという。中学・高校は美術部だったが、モチーフのリンゴやバナナを食べてしまうような不真面目な生徒だった。浪人の末、東京芸術大学に入学。油絵専攻だったが大学院修了後、より明快に表現の意図が伝わる版画に関心が向いた。
○…年をとっても創作意欲は衰えず。弟子との展覧会は毎年、個展も隔年で行っている。「僕はまだ『半画家』なんです」と、ここでも洒落を交えながら、さらなる成長を望む。ある評論家に「高柳の作品を一言で言うなら『軽妙洒脱』」と評されたことがある。軽く見えて切り口の鋭い作品をこれからも生み出していく。
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