葉山アマモ協議会(葉山町漁業協同組合・町立一色小学校、ダイビングショップナナ・鹿島建設(株))は、「葉山町の多様な主体が連携した海の森づくり活動」により再生したカジメ・天然ワカメ・養殖ワカメを対象にブルーカーボン(46・6トンのCO2/年)の創出を行い、このほどJブルークレジットの発行が認可された。
企業活動におけるカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出実質ゼロ)を目指す企業などがこのクレジット分を購入。相殺に充てるとともに、その資金は漁協を通じて同協議会の藻場の保全、再生活動に充てられる。
周知と資金 一挙に
町沿岸では2018年頃から海藻類の衰退が急速に進み、海底の砂漠化とも言われる「磯焼け」が問題となっていた。同協議会は海藻を食い荒らすウニの駆除やカジメの胞子を撒くスポアバックの設置、陸上生産した種苗の設置など多面的な手法で藻場の再生を試みてきた。多彩な参加者も特徴で、漁業者のほか、水中での作業を担うダイバーや種苗育成に取り組む小学生、研究開発を担う鹿島建設のほか、駆除したウニを無駄にせず堆肥にする飲食店や農家などがゆるやかに手を携えながら進めてきた。
養殖の認定 全国初
国内のブルーカーボンはまた黎明期で、Jブルークレジットの発行は一昨年が4件、昨年は協議会を含めて18件と少なく、相模湾沿岸では初めて。また、大企業と地元漁協が連携している例が多く、葉山のようにダイバーらが参加したことや、ワカメの養殖が認証されたのは全国で初めて。長年の協働が先進的な事例として結実した。
脱炭素を軸に、持続可能な漁業生産、地元の学校での教育啓発、藻場再生の研究開発、地域経済の活性化という好循環が生まれている。活動資金を獲得するだけでなく、周知にもつながるのも特徴だ。「葉山は地域全体で取り組む点が特徴であり、教育や漁業の持続性に大きな意味を持つ。クレジットはできるだけ地域の企業に購入してもらい、輪を広げたい」と語るのは申請を担った協議会の山木克則さん。現在の仕組みではクレジットを購入できるのは企業だけだが、個人は個人が買える仕組み作りも検討事項だ。
山木さんは「ブルーカーボンクレジットは毎年、発行されるのも特徴。現在は真名瀬沖の一部エリアだけだが、今後は活動範囲を葉山町沿岸全体に広げ、好循環の輪を広げたい」と展望を語った。
![]() 昨年10月に行われた藻場再生活動の参加者たち
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